パラレルNovel
□君は名探偵
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君は名探偵・・・別に、たいした事なんかないさ。
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事件から数時間がたち関係者一同はマンションのロビーに集まっていた。
「どうしてこんな…」
被害者であるヒトミはショックを隠しきれない。
「ヒトミ…大丈夫だ、兄ちゃんが守ってやるから」
「ヒトミ先輩しっかり」
両サイドからヒトミを支えるように立つ鷹士と颯大。
「信じられないね」
綾人が溜め息混じりに吐き出した。
「許せねぇっスよ」
剣之助が壁に拳を打ち付ける。
「犯行は誰にでも可能だった…違うか?」
誰に言うでもなく蓮が言った。
「目撃者もいませんしね」
透が呟く。
「華原さんはどう思いますか?」
楓が雅紀に話を振る。
「…オレにはもう犯人が誰かわかってるよ」
「華原、軽はずみにいい加減な事言うなよ?」
龍太郎が釘をさした。
「大丈夫ですよ先生、この推理には自信があります」
「そんなこと言って雅紀先輩が誰かを庇うかもしれないじゃない?」
颯大が指摘した。
「オレは誰も信じない…故に公平な判断が出来るんだよ」
雅紀は口の端を上げてニッと笑う。
「誰なの?華原くん」
ヒトミが潤んだ瞳で問う。
「マンションの屋上で桜川がうたた寝をしている間に忍び寄り、付近にカロリーの高いお菓子をしのばせてダイエットの邪魔をしたのは…」
一同が同時に息を飲んだ。
「鷹士さん、あなただ」
「なっ!」
「…お、お兄ちゃん?」
視線が鷹士に集中しヒトミが驚いて口を手で覆う。
「まさか、なんの根拠があってそんな…雅紀、冗談が過ぎるぞ!」
鷹士が声を荒げ雅紀に歩み寄った。
「鷹士さん、あなたはダイエットで体重を減らし可愛くなっていく妹をみていられなかった…違いますか?」
一瞬ビクッと鷹士の肩が揺れる。
「………」
「このままダイエットに成功したら妹が自分のもとを離れて行く、そう思って犯行に及んだんですね」