パラレルNovel
□小さな出会い
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小さな出会い・・・Girl meets Boy
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「本当に二人で大丈夫?」
この言葉を聞くのは朝から何度目だろう。
鷹士は肩をすくめながら笑って答えた。
「平気だって、母さんそんなに心配しないで」
「でも・・・やっぱり二人じゃ」
「父さんも母さんも今日は仕事なんだから仕方ないよ」
「ママ!ヒトミももう一年生だから大丈夫だってば」
鷹士の背後からヒトミは母親の前に飛び出し胸を張って言う。
ヒトミは女の子らしく夕べから洋服をとっかえひっかえして選び出したワンピースを着てバッチリお出掛けスタイルをきめていた。
鷹士はその姿を見てヒトミは今一番人気の子役モデルとはいえ家族の贔屓目抜きにしても大変愛らしいとしみじみ思った。
母親もそう思うからこそ余計に心配なのだろう。
ヒトミは何処にいても目立つのだ。
しかし幼さゆえか無頓着なのか本人にさっぱりその自覚はなかった。
母親はヒトミの前に膝をつくと心配そうにヒトミの顔を覗き込んだ。
「ヒトミ、お兄ちゃんの言うことちゃんと聞くのよ?」
「はぁい」
「知らない人には物を貰わない、ついていかないって約束出来る?」
「約束します」
指切りして約束を交わしやっと安心したように母親は立ち上がった。
「二人とも気をつけてね」
「「行ってきま〜す」」
見送る母に二人は声を揃えて元気良く手を振って出発した。
* * * * *
晴れた空の下、遊園地は賑やかに二人を迎えてくれた。
いくつかの乗り物を終えると、ヒトミはすっかりテンションがあがり元気よくはしゃぐ。
「ヒトミ、楽しいか?」
「うんっ」
鷹士の質問にヒトミは満面の笑みで答えた。
それを受けて鷹士も自然と笑顔になる。
「そっか良かったな」
「連れて来てくれてありがとね、お兄ちゃん」
繋いだ手をキュッと握るヒトミに鷹士は胸いっぱいの愛しさを感じた。
この小さな妹はいつだって素直でどこまでも可愛い。