★ Diamond Honey ★

□Diamond Honey2
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いざ一人で来るとなるとちょっとだけ緊張する白い建物。

この前山本に連れて来て貰った彼の妹、さくらちゃんの病室。

また来るねと言ってからなんだかんだと数日がたってしまっていた。

まさか忘れられてたりはしないと思うけど…大丈夫だよね?

ドキドキしつつそっと病室へ足を踏み入れた。

「こんにちは…さくらちゃん?」

声をかけてみたけどカーテンがしまったままのベッドから人の動く気配はない。

もしかしていないのかなと思いつつそのカーテンの中を覗きこむと…

すやすやと眠るさくらちゃんがいた。

うわー…俺ってタイミング悪いな。

どうしよう。

起こすのも悪いしと思って帰ろうとした時、

近くの窓が開いているのに気づいた。

このままだと風邪ひいちゃうよね。

閉めて行った方がいいかな。

そっとカーテンの中へ歩み寄り窓に手をかける。

ゆっくりと窓を閉めるとカラカラと小さく音が鳴った。

「う…ん」

小さな声にビクッと肩をすくめる。

恐る恐る振り向けばまださくらちゃんの目はまだ閉じられていた。

はぁ…

ホッとして肩の力が抜け息を吐く。

その次の瞬間、パチッと閉じていた目が開いた。

「わっ!」

「…あれ?」

「えーと…」

「ツナくん?」

そうだよね、いきなり目が覚めて人がいたりしたら驚くよね。

どうしよう本当俺ってタイミング悪っ

「うん、ごめんね。起しちゃったかな」

「私まだ夢みてるのかと思った」

「えっ…どうして?」

「だってまた来てくれると良いなって思ってたの。この前来てくれた時、お兄ちゃんやツナくんたちとお喋りしてとっても楽しかったから…でも本当に来てくれるなんて…」

「俺もまたさくらちゃんに会いたいって思ってたよ」

「本当?」

「うん、だって友達だし」

「お兄ちゃんの?」

「さくらちゃんの」

さくらちゃんは少し驚いたような顔をした。

何か変なこと言ったかな俺。

「…友達になってくれるの?」

おずおずと話す言葉にやっとそうかと理解する。

さくらちゃんの中ではまだ俺は“お兄ちゃんの友達”なんだ。

そっとかがみこむとさくらちゃんに視線を合わせる。

精一杯の気持ちを込めて言った。

「もう友達だよ」

「っ…ありがとう」

これ以上ないくらい嬉しそうに笑うさくらちゃんがなんだかとても可愛い。

急に顔が熱くなったのは気のせいかな。
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