★ Diamond Honey ★

□Diamond Honey3
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ある日の朝の山本家。

「可愛いパジャマ?」

ご飯を食べていた手を止めて山本武は聞き直した。

父親は一つ頷くと先を続ける。

「おうよ、急にさくらが言い出してな」

「なんでまた…」

「さぁな…まだまだ子供だと思ってたがさくらも女の子だしな。そろそろお年頃ってヤツかもしれねぇなぁ」

ちょっとだけ寂しそうに遠くを見て呟く。

山本はむしゃむしゃと朝ご飯を再開した。

「で?どうすんの?パジャマ」

「頼むわ武」

「頼むって言われてもなぁ、親父が頼まれたんだろ?」

「んなこと言ったっておめぇ女の子の服なんてわかるワケねぇだろ」

普段ワガママを言わない妹の願いだ、出来れば聞いてあげたい。

あえて“可愛い”とつけているってことは今持っているパジャマの系統でないものが欲しいのだろう。

それは流石に男である自分たちにはちょっと難しい注文だった。

「俺だって…まぁ仕方ないか、なんとかしてみるよ」

「すまねぇな」

その時、山本の頭の中には一つの案が浮かんでいた。

家の事で他人に迷惑をかけてしまうのは気が引けたが

親友であるあいつならきっと協力してくれるだろう。




それから数時間後のこと。




「可愛いパジャマ?」

急に山本に相談があると呼び出されたと思ったら意外な単語が飛び出してきた。

俺は驚いて山本を見返す。

「ああ…なんか急にさくらが言い出してさ。可愛いパジャマが欲しいって」

困ったように頭をかく山本。

俺はふと何回か会った時のさくらちゃんの姿を思い浮かべてみた。

確かにいつもシンプルな色やデザインのパジャマを着ている気がする。

でもそれは全然変じゃなくて似合っていると思うんだけど…。

「それで…母さんに?」

「なぁツナ、頼めないか?いつも俺や親父が買ってやってるのじゃないのが良いって言われると女の子のパジャマなんてどれが良いかわかんねーし」

この通りっと山本が目の前で手を合わせる。

確かに女の子のものを選ぶのって難しいかもしれない。

でもウチの母さんで良いのかなぁ…。

「一応、聞いてみるよ」

「悪いな!これサイズのメモな。金は後で払うから」

ギュッと握らされたメモの紙。

その日、学校が終わると俺は急いで家に帰った。
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