★ Diamond Honey ★

□Diamond Honey9
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今日はカレンダーにつけられた赤マルの日。

家の中はどこかそわそわしてみんな落ち付かない。

部屋でぼんやりとそろそろかなぁなんて思っていると

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴った。



「こ、こんにちは」

「いらっしゃい二人とも」

「さくらがお世話になります」

「こちらこそ、どうぞ上がってちょうだい」

「「お邪魔します」」

「ツッ君ー!山本くんたち見えたわよー」

「はぁい!今行くー」



母さんの声に部屋から飛び出して階段を駆け降りて行く。

玄関には少し大きなバッグを持った山本と空色のワンピースのさくらちゃん。

そして二人を出迎えた母さんがニコニコと微笑んでいた。

「いらっしゃい」

「よっ」

「ツナくん」

今日は先日退院したばかりのさくらちゃんが家に泊まりに来る日。

本当はまだお家でゆっくりしてた方がいいんだろうけど

母さんたちが退院祝いパーティをやりたいからついでに泊まりにおいでと声をかけたんだ。

おかげで家は昨日から準備で大賑わい。

「嬉しいわぁこんな可愛い子が家に泊まりにきてくれるなんて。遠慮しないでくつろいでね」

「ありがとうございます、奈々さん」

はにかんだ笑顔に親子揃って胸がキュンとなる。

「もうっ可愛いわぁ」

母さんはガバッと抱きついてさくらちゃんを抱きしめた。

えっちょっと…

「か、母さん?」

なにしてんのー!

母さんてこんなキャラだったっけ?

「もー母さん、いつまでも二人を玄関に立たせてちゃ悪いから!」

「あらあら、ごめんなさいね。外は暑かったでしょう?今何か冷たいもの入れるわね」

鼻歌を歌いながら母さんはキッチンへと去って行った。

山本もさくらちゃんも母さんの勢いに押されたのかまだちょっと呆然としている。

「あー…なんかごめんね?」

「ううん、ギューってしてくれて嬉しかったよ」

「良かったな、さくら」

「そ、そう?それならいいんだけど…」

二人を連れて居間へ向かうとすでにそこで待っていた我が家の居候たちが目を輝かせた。

チビッ子三人は我先にと駆け寄ってくる。

「さくら」

「さくらサン」

「さくら姉久しぶりー」

あっという間にランボとイーピン、フゥ太に囲まれてしまった。

「こんにちは、みんな元気にしてた?」

「ランボさんはいつでも元気だもんね」

「イーピンも」

「僕も元気だったよ」

そのまま手を引かれるようにして中に連れていかれてしまう。

まだ入口に立ったままの俺と山本は顔を見合せて苦笑していた。
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