パラレルNovel
□君は名探偵
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「お兄ちゃん?」
「あぁそうだよ!俺がやったんだ…ヒトミは俺のだ誰にも渡したくないっ。でも痩せて綺麗になって恋をして俺のもとからいなくなるかもしれない、だから…また太れば良いと思った」
「それでカロリーの高いお菓子を?」
コクンと鷹士が頷く。
「鷹士…」
龍太郎が信じられないといった顔をする。
「最低だな」
蓮が冷たく言い放った。
「でもなんでヒトミちゃんが必ずそのお菓子を食べるってわかったんだろう」
透が雅紀に疑問を投げ掛ける。
「寝起きというのは少なからずお腹が減るもの。しかも桜川は起きぬけにお菓子を見ると空腹に任せて食べてしまうという習性がある…寝ぼけてコンビニに行く時があるくらいだしね。これはそんな桜川の習性を利用した実に巧妙な罠だったんだ。だが反対に身内でなければめったに知りえない情報だ、それが致命的でしたね」
「ヒトミは太ってても可愛いんだ。なのにみんな、ダイエットしてヒトミの外見が変わったからって近寄っきやがって…許せなかったんだ!」
パシンッ
小気味よい音がロビーに響いた。
「お兄ちゃんのバカ!」
ヒトミが鷹士の頬をひっぱたいた。
「ヒ、ヒトミ?」
鷹士だけでなく周りの者も驚いてヒトミを見つめる。
「私の気持ちを無視しないで!お兄ちゃんが私の事を思ってるのと同じくらい私もお兄ちゃんの事思ってるんだよ?それに私はお兄ちゃんの妹なんだよ?この縁は切っても切れないんだから離れていくわけないじゃない!」
「ヒトミ…ごめんな、本当にごめん」
鷹士さんが俯き膝をついた。
「わかってくれたらいいよ、お兄ちゃん…」
ヒトミがしゃがみ込んでそっと鷹士の手を取った。
「鷹士さん、桜川にみんなが寄ってくるのは外見よりもその中身に惹かれるからなんですよ」
雅紀はそういうとクルリと背を向けた。
「じゃ、まぁ・・・お開きっつーことで」
龍太郎がパンパンと手を叩く。
「華原くんっ」
歩き出す雅紀にヒトミは小走りでかけ寄った。
「ありがとう」
そう微笑むとヒトミはチュッとかわいらしい音をたてて雅紀の頬にキスをした。
end
→あとがき