パラレルNovel
□GO!GO!ラブレンジャー
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【ラブレンジャー秘密会議】
とある日とある時とある場所で
ラブレンジャーの秘密会議が開かれていた。
そのメンバーはヒトミを除くマンションの住人全員。
だが鷹士は遅刻の為、まだその姿を見せていなかった。
司令がいなくてどうするよ、と軽く揉めたものの若月龍太郎のやっちまうべの一言で会議は始められたのだった。
「え〜、本日の議題はみんなの不満です。やっぱり戦闘はチームワークが大事なのでこの際不満の有る人は打ち明けてスッキリ解決しましょう」
ホワイトボードに議題を書き込みながら引っ込み思案な木野村透が珍しくこの場を仕切っていた。
「では不満のある方は挙手願います」
透が言い終わるか終わらないかのうちに次々と手が上がる。
こんなに手が上がるとは思っていなかったせいか透は一瞬うろたえたもののなんとか平静を装って皆を見回した。
「えっ、えっとじゃぁ一ノ瀬先輩どうぞ」
透は誰から当てて良いか迷ったが困った時はレッドからの法則に従い、一ノ瀬蓮に声をかけた。
蓮は腕を組みながら眉間にしわを寄せつつ発言する。
「俺は常々思っていたんだが、あのコスチュームはなんとかならないのか?あまりの羞恥心で戦闘どころじゃないんだが」
戦闘時に着用するバトルスーツに不満があるらしい。
何人か同意するように頷いた。
「あのピッタリ感がなんともねぇ…出来ればもっと違う服が良いな」
雅紀も苦笑しながら呟くとその言葉に透が反応した。
「ダメだよ!あのスーツを着なくちゃパワーが発揮できないんだから!!」
いつもののんびりした口調とはどこか違う。
「あれは身体能力を増幅してくれる上に頑強な防御効果があるんだ、あのバトルスーツ以上に最適なコスチュームは無いよ!!」
「あ、熱いな・・・木野村」
力説する透の勢いに押されて雅紀は少し後ずさる。
その隣にいた颯大はニコッと笑みをこぼした。
「ボク意外と嫌いじゃないよあのコスチューム、ちょっと格好いいじゃん?」
「「えぇ〜!!」」
「深水くん、君はわかってるね!あの格好いいコスチュームあってのラブレンジャーだよね」
周りの動揺を無視して透が頷きながら颯大の手をとって握り締めた。
他のメンバーは呆気にとられ頬を引きつらせている。
「…羨ましいな」
ポツリと囁き声が聞こえ、一同が声の主を振り返った。
「みんな良いよね…僕もピッタリコスチューム着て嫌だなとか思ってみたいよ…サポーターなんてマイク持って画面見てるだけだし」
綾人は目を伏せて切なげに一人ごちた。
そこだけ悲しいBGMがかかっている様な雰囲気さえする。
「か…神城?」
蓮が控え目に声をかけた。
呼ばれてハッと我に返る綾人。
「あ、ごめん…独り言のつもりだったけど聞こえちゃったかな」
あはは…気にしないで、と綾人は切なげに笑った。
((気にしないなんて無理ー!!))
それぞれが心の中で叫んだ。
「ほっホラなんだ、あー…一ノ瀬、コスチュームは着たくても着れない奴がいるんだから文句言うな、な!」
龍太郎が無理矢理この場を纏めようとする。
「わかりました…」
蓮は溜め息をつきつつも頷いたのだった。