パラレルNovel
□突撃ラブバトル
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ライバルは突然に・・・大胆不敵に宣戦布告
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「ヒトミおはよっ!」
マンションの玄関ホールで背後から声をかけられヒトミは微笑みながら振り返った。
「おはよう華原くん」
「だから雅紀って呼べってば」
雅紀は何度言ったかわからない台詞に苦笑する。
「ご、ごめん…雅紀くん」
ヒトミは頬が熱くなるのを感じた。
「…余計なのがついてる」
「呼び捨ては無理だよぉ…」
少し拗ねた様に言う雅紀にヒトミは困った顔で返した。
「あ〜あ朝からイチャイチャしないで欲しいよね」
「そ、颯大くん!」
降って湧いた颯大の声にヒトミは真っ赤になって驚く。
「おはよ〜ヒトミちゃん」
今までヒトミ先輩と呼んでいたはずが突然ちゃん付けになった事に雅紀は気付いた。
「颯大、ヒトミの呼び方変えんなよ」
「ヒトミちゃんはヒトミちゃんだも〜ん」
雅紀の言葉を全く気にせず颯大はペロっと舌を出す。
「おはようございます」
「あ、橘くんおはよう」
剣之助がいつものネクタイを締めない姿でホールに姿を現した。
「橘くん始業式くらいネクタイ締めなくちゃ」
やってあげる…とヒトミは剣之助の襟元に手を伸ばす。
「せんぱ・・・」
剣之助が赤くなって逃げようとするが幾分ヒトミの手の方が早かった。
簡単にネクタイを結び上げてしまう。
「はい、これでオッケーかな」
「っス」
「ボクもネクタイ締めないで来れば良かったな」
「橘も今度は自分で結んでこいよ」
羨ましそうに言う颯大に満面の笑顔で言う雅紀。
雅紀の笑顔に只ならぬ気配を感じ、剣之助は冷や汗を流した。
そろそろ行かないとと一行は玄関の自動ドアを通り抜ける。
「あ、美少女がいるよ」
目の前を指差し、ヒトミが驚き半分に男三人を振り返った。
「俺の隣に?」
「ヒトミちゃんより美少女なんているの?」
「もう、二人ともからかわないでよ」
雅紀と颯大に冷やかされたと思ったヒトミは頬を膨らませる。
二人はからかってなんかないのにと目を合わせた。
「誰か待ってるんスかね?」
剣之助はフォローするようにヒトミに話しかけた。
「うん、ウチの学校の制服だしね」
しょっちゅうマンションの前には出待ちのファンの子達がいたりするがどうやらそういった手合いではないようだ。
ヒトミたちの話声に気付いたのか少女はこちらへと視線を向ける。
肩にかかった赤茶色の髪、整った顔に大きな目・・・可憐なそのいでたちはヒトミの言うように美少女そのものだった。
「あ、こっち来るよ」
「う、うん」
颯大がヒトミの袖をひっぱる。
ヒトミはなぜかこの少女に見覚えがあるようなそんな感じを覚えた。
「あの・・・」
「おはよう、まーくん!」
ヒトミが話しかけるより早く、美少女は小走りで雅紀の元にやってくるとそのまま飛びつくように抱き着いた。