パラレルNovel
□乙女的☆オズの魔法使い
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【プロローグ】
「ヴァン!ヴァン!」
ベットの下に潜り込む主人に向けてシュタインは急かす様に一生懸命吠え立てていた。
当の主人は必死にベッド下の奥に手を伸ばしている。
「ヴァンヴァン!」
「ちょっと待ってシュタイン、竜巻が来てるって言うんでしょ!わかってるから、このお菓子を取ったら直ぐに行く・・・から」
あろうことか主人であるヒトミはその100kgもある巨体を押し込みベットの下に隠したお菓子を取り出そうとしていたのだ。
やっとのことでお菓子に手が届くと体を引こうとしたが動かない。
「え?あれ?ちょっと・・・」
「ヴァン!ヴァン!」
無理矢理体をねじ込んだせいかお腹がつっかえて身動き取れなくなってしまった。
尚もシュタインは吠え続ける。
「だっだれか〜!助けて〜」
ジタバタしながら声を発するが同居人である叔父と叔母はすでに避難してしまった後だ。
しかもヒトミに早く逃げようと声をかけてくれたのにも関わらず先に行っててと言ったのは自分。
全く何をしているんだろうと半泣きでヒトミが途方にくれた瞬間・・・。
ドゴンッ!メキメキッゴゴゴゴゴゴッ
大きな音と共に家全体が大きく揺らめいた。
その拍子にベットの下から飛び出せたものの、激しい揺れに身動きがとれない。
シュタインも揺れに合わせてバタバタと跳ねてしまっている。
ヒトミにしては成す統べもなくゴロゴロと部屋を転がるっている始末だ。
必死に窓を見ればいろいろなものを絡めて上げて渦巻く風が見える。
まさか竜巻に家ごと飛ばされてしまったのだろうか。
洗濯機の中はきっとこんな感じなのかもしれない・・・とおかしなことを考えつつヒトミはゴロゴロと転がり続ける。
やっとのことでヒトミはなんとか柱に捕まりギュッと目を閉じた。
ドッカンッ
どのくらいの時間がたったのかわからないウチにまたも大きな衝撃が襲う。
家具の下敷きにならなかったのは幸いだ。
「ヴァン」
シュタインも無事らしくヒトミの元へ走り寄って来る。
一人と一匹はお互いを慰める様に抱き合った。
あの揺れの恐怖はなかなか収まらない。