パラレルNovel

□乙女的☆オズの魔法使い
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コンコンッ

しばらくすると玄関の扉をノックする音が響いた。

ヒトミは恐る恐る立ち上がるとシュタインを連れてそっと扉を開く。

「これはこれは 偉大なる魔女さま」

深くフードをかぶった人物がヒトミに対してうやうやしく頭を下げた。

声からしてどうやら男の人らしい。

「あの、あなたは誰ですか?私は魔女では無いんですけど・・・人違いでは?」

「いいえ、あなたさまが素晴らしき魔女さまです。この国を脅かしていた東の魔女を倒してくれたのですから」

「いえ、私は何もしてませんし・・・それに魔女ってなんですか」

ヒトミが困った顔をすると男はフードをあげ、素顔をさらした。

安心させるようににっこり笑う顔にヒトミはどこか見覚えがあるような気がする。

「お兄ちゃん?」

「ん?俺はただの北の魔法使いだけど?」

「そ、そうですよね。ごめんなさいっ」

「いやいや気にするなって、そう呼んでくれて構わないぞ。名前は鷹士って言うんだ」

「は、はぁ・・・じゃぁ・・・えっと鷹士お兄ちゃん、私はヒトミって言います」

ヒトミは自己紹介をした。

北の魔法使い鷹士は最初とは打って変わり妙に気安い感じに話して来る。

「ほらソコ、家の下敷きになった足がみえるだろ?それが悪い東の魔女だったのさ」

「えっウソどうしよう!助けないと」

「大丈夫だって、この魔女にこの国の人たちは苦しめられてたんだからみんなお前に感謝してるんだぞ」

「いや、そういうことじゃなくて」

「まぁまぁホラ見てみろって」

ヒトミは抗議するが鷹士の背後から村人達が次々に現れては感謝の意を示す。

「新しい魔法使い様ありがとう!」

「ホントに助かりました!これでゆっくりと暮らせます」

「おねえちゃんアリガトー!」

面食らうヒトミだがもうどうしていいかわからなくなってしまった。

「それに、魔女は人間よりも長く生きるから命とともに肉体も消えるのさ」

鷹士がそう言うと同時に家の下敷きになっていた足は煙のように溶けていった。

あとに残ったのは銀色に輝く不思議な靴。

その靴を鷹士はひょいと拾い上げてヒトミにと差し出す。

「これはヒトミが持つべきだな。代々倒した人が相手のものを持つ権利があるんだ」

「いや、倒そうとして倒した訳じゃないので貰うのはちょっと・・・しかも遺品なワケでしょ?」
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