★ Diamond Honey ★

□Diamond Honey2
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「そうだ!」

「ど、どうしたの?」

さくらちゃんは急に起きあがるとカーディガンを羽織ってベッドを降り、サンダルを履く。

そして側に置いてあったポシェットを肩から下げた。

「飲み物買いに行こうよ」

「えっ、ちょっと」

「こっちこっち」

誘われるがまま歩きだす。

ナースステーションに寄るとさくらちゃんはこの前会った看護師さんにジュースを買いに行くことを告げた。

「一人で行くの?」

「ううん、お友達と」

元気よく答えるさくらちゃんはチラリと俺の方を見てはにかんだ。

うわ…なんかいちいち行動が可愛いな。

妹がいたらこんな感じなのかな。

「あら、あなたこの間の…」

「ども…こんにちは」

看護師さんは俺の事を覚えてくれていたらしい。

挨拶をすると優しく微笑んでくれた。

「気をつけて行ってきてね」

「はぁい」

許可を得てまた歩き出すさくらちゃん。

その後を追おうとした時

「ねぇ君」

「はい?」

呼びとめたのは先ほどの看護師さん。

何事かと思って立ち止まるとそっと囁かれた。

「さくらちゃんのこと、見ていてあげてね。楽しいと疲れているのに気づかなかったりするから」

「はい、なるべく早く戻るようにしますね」

「お願いね」

心配そうな言葉に深くうなずく。

さくらちゃん、やっぱりまだ体調が良くないのだろうか。

「ツナくん?」

「あっごめん今行く」

後ろについてこない俺に首をかしげて振り返るさくらちゃん。

小走りで追いつくとキュッと手を掴まれた。

「えっ?」

驚いてその顔を見るとちょっとだけ躊躇うような顔。

「手、繋いでもいい?」

「う…うん」

頷くとさくらちゃんはニッコリと笑って手を握った。

女の子と手をつなぐなんてすごい久しぶり。

俺よりも小さな手はすごく柔らかくて暖かかった。
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