★ Diamond Honey ★

□Diamond Honey4
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一旦家に帰ると急いでシャワーを浴び、着替えてから病院へと向かう。

煙草の匂いがしないか入念にチェックするのも忘れずに。

何度かツナたちと一緒に通った道を抜け、目的地にたどり着く。

病院の門に立つと意外な人物が視界に入った。

門から病院の建物までの間に広がる中庭のベンチに見慣れた女の子が座って空を仰いでいる。

「…さくら?」

「隼人くん!」

獄寺に気づくとさくらは勢いよく立ちあがり走り寄って来た。

その行動に焦った獄寺も慌てて駆け寄る。

「おい!バカ走るなあぶねぇっ」

さくらは躊躇うことなく獄寺に抱きついた。

まるで兄にするのと同じように歓迎を現す。

「…大丈夫、だよ」

「うそつけ!息上がってるじゃねぇか」

「ちょっとだもん」

そう言って獄寺のシャツを握りしめる手には少し力が入っている。

無意識にしがみついているのだろう。

獄寺は抱きしめるようにしてそっとさくらの背中を支えた。

「無理すんな、ゆっくりでいいから深呼吸しろ」

その言葉に少し驚いたさくらだったが言われるままに深呼吸を繰り返した。

しばらくして呼吸が落ち着いていく。

「ベンチ、戻れるか?」

「うん。なんか隼人くんお医者様みたい」

「なんだそれ、んなワケねーだろ」

クスッと笑うさくらの頭をコンと軽く叩く。

そっと離れた二人は先ほどさくらが座っていたベンチへと戻り腰を下ろした。

すると獄寺がカバンの中からペットボトルを取り出してさくらに差し出す。

ご丁寧にそれは保冷ポーチに入っている。

「これでも飲め」

「何?」

「俺様特製ジンジャーハチミツレモンだ」

「………」

「なんだよ」

「…美味しいの?」

その瞳はあきらかに疑っていた。

「いいから飲んでみろって」

さくらは恐る恐る蓋を開けるとコクンと一口飲んだ。
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