★ Diamond Honey ★
□Diamond Honey6
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「特別に外出許可が出たけど、2時間以内に戻るのよ?」
「「はい」」
看護師さんの言葉に俺とさくらちゃんは元気よく返事をする。
そして顔を見合せるとニンマリと笑った。
なんと今日はこれから山本の部活風景を見に行く。
さくらちゃんが練習を見たいと言った日の帰り、俺は看護師さんに短時間の外出が出来ないか相談してみた。
最近は状態が落ち着いているとのことで看護師さんが担当医に相談してくれることになったのだ。
その話が出てから山本には内緒で俺とさくらちゃん獄寺くんの三人で計画していて
さくらちゃんの体調が良い時に病院の許可が出次第決行する予定だった。
もちろん山本の親父さんには前もって話してあって許可をとってある。
「武の部活風景たっぷりとさくらに見してやってくれ」
そう言って親父さんは笑って許してくれた。
そして今日、ちょうど夏休み始まったばかりの晴れの日。
いよいよ許可が下りて決行となった。
「十代目そろそろ行かないと時間なくなっちまいますよ」
「そうだね、さくらちゃん俺の服で悪いけど着替えてくれる?」
まさかパジャマで行くわけにもいかないし、山本にバレずにさくらちゃんの服を持って来れるわけもなく俺の服を用意した。
獄寺くんのだと俺のよりもサイズが大きいだろうし…。
ベッドの周りのカーテンを引いた中でさくらちゃんが着替え始める。
俺と獄寺くんは夏休みとはいえ学校に行くからと念のため制服だった。
「お待たせ」
カーテンをめくってひょっこりと顔を出すさくらちゃん。
俺の服でも華奢な彼女はブカブカだったらしく半袖なのに五分袖みたいになっていて丈もちょっと長い。
ハーフパンツもひざ下まであってそこにいつものサンダルを履いている。
「フード付きの服っていいよね、なんか嬉しいな。…あれ、どうしたの?」
固まったまま言葉を失う俺たちを見て首をちょこんと傾げる。
うわーヤバいってその仕草。
可愛すぎるよ。
同じ事を思ったのか獄寺くんも真っ赤になって口元を押さえている。
それを勘違いしたのかさくらちゃんは困ったような顔をして自分の格好を見直す。
「えと…変、かな?」
「そっそんなことないよ!」
「い…いいんじゃねぇか」
「良かったぁ」
二人して勢い良く首を振って否定する。
だってむしろその逆で可愛すぎて困るくらいだし!
「お前、頭ボサボサじゃねーか」
「あれぇ着替える時になっちゃったのかな」
「しょうがねーな、俺がやってやるよ」
手櫛で整えるさくらちゃんに見かねた獄寺くんがさくらちゃんを座らせた。
そして横のテーブルに置いてあった櫛とゴムを手に取る。
「いいよ隼人くん、時間ないし」
「じっとしてろって。十代目、すぐ終わりますから!」
「あ、うん」
獄寺くん…いつからこんなに面倒見が良くなったんだろう。