★ Diamond Honey ★

□Diamond Honey8
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パァーンと音が弾けて


夜空に綺麗な大輪の花が咲いた。



「わぁ…きれい」

「うんっ」

「日本の夏って感じッスね」

「だな」

俺達はみんな一瞬ににして彩り溢れる空の景色に目を奪われる。

次々に上がる様々な炎の花たち。

時間差でやってくる音と打ちあがる音。

感覚全てが花火に支配されていた。

新しい花が咲くたびに歓声をあげ、夢中になる。


だから、さくらちゃんの変化に気づかなかったんだ。


なんとなく視線を空から下に落とし、楽しんでいるみんなの顔を見る。

すると、さくらちゃんが目を閉じて俯いている。

どうしたんだろう…

「さくらちゃん?」

「…コホッ」

「さくら?」

「ううん大丈夫。ちょっとムセただけ」

心配そうに見る俺たちにさくらちゃんは笑顔で首を振る。

夜空の下、顔色までは良くわかないけど嫌な予感がした。

「無理するなよ」

そう言って山本はドリンクをさくらちゃんに勧めた。

受け取りながらさくらちゃんは空を指差す。

「平気だって!ホラお兄ちゃんもツナくんも目を離してると勿体ないよ」

「ああ…さくらも楽しみにしてたんだから良く見とけよ?」

「はぁい」

パァーン

菊に牡丹、時々星型やニコニコスマイルといった変わった形を織り交ぜて花火は続いて行く。

あっという間に時間は過ぎて行き

もうそろそろ終盤へ差し掛かるという頃…

「…ちゃん」

ドンという花火の音の中に小さな声が聞こえた。

それはまぎれもなくさくらちゃんの声でハッと意識が地上に降りる。

「おにい…ちゃん」

次の声はハッキリと聞こえ俺たち三人が顔を見合せさくらちゃんを見る。

「「さくらっ!」」

「さくらちゃんっ」

「おにいちゃ…ごめっ…くるし…」

ギュッと山本にしがみつくようにして抱きつく。

ヒューヒューと喉を鳴らすさくらちゃんの目にはじんわりと涙が浮かび上がっていた。

俺と獄寺くんもそれに気づくとすぐ側へと駆け寄る。

「発作か?」

「ああ」

獄寺くんの言葉に山本は頷く。
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