★ Diamond Honey ★
□Diamond Honey13
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「さくら、さくら!大丈夫か?」
お兄…ちゃん?
息が…出来ない…苦しい
「はぁ…はぁ…っ…けほっけほっ」
「武、準備出来たぞ!」
「親父今行く!さくら、すぐ病院連れて行ってやるからな」
毛布にくるまれたまま抱えあげられ、ぼんやりと目を覚ます。
そうか…私寝てる間に発作を起こしたんだ。
目の前が滲む。
苦しくて目に涙が浮かんでいることに今頃気づいた。
「…お兄…ちゃん」
「さくら、もうちょっと頑張れな?」
私は頷くのがやっとで意識はまた苦しさに飲み込まれていった。
重い暗闇が心を支配して行く。
真っ暗な中、ぼんやりとした中に浮かび上がるのは…
街で会った女の子たちと楽しそうにしているツナくんや隼人くん、お兄ちゃん。
私は少し離れた場所でその楽しそうな世界を眺めている。
ツナくんたちがいる場所はとても遠くて…そこへ行きたいのに近寄れない。
だんだんと距離は離れていってやがて見えなくなる。
ポツンと取り残された世界に私はただ呆然と佇んでいた。
誰か…気付いて
“お願い 一人にしないで
お兄ちゃん!ツナくん!隼人くん!”
声は反響するだけで消えていく。
“置いて行かないで…”
私はただ静かに涙を零す…
そして世界はまた暗闇に溶けていった。