めいん
□アリス1
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〜何万光年の幻〜
夜を見上げ、星を見つける。
この世界の中で私は生きているのだろうか。
あの星々のように輝いているのだろうか。
そう疑問を投げかけると、隣に座っていた白ウサギはくすりと笑った。
「あの星どもなど、信用なりませんよ。
今、目に映っている星どもは幻影かもしれないのですから。
ですが貴女は今私の目の前にいて、存在している。
それは変えようのない事実です」
星々ではなく、私が証明になりましょう。
白ウサギはそう付け加えた。
それは頼もしいわね、と私は静かに微笑む。
私は確かに存在している。
だけれど、誰かに認めてもらわなければ私はいなくなるのだ。
あの星々のように、ただ、存在の幻となる。
それでも、私は私のまま。
他の誰かになることはできない。
人間は人間である限り、何万光年の幻に過ぎないのだから――
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