Tales of Colloseum
□〜プロローグ〜
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Begining the another story
「僕は………。」
闇の中消えゆく身体で少年は思う。
自分の存在が消えていくことに不思議と何の
恐怖も不安も感じない……逆に心地いいぐらいだ……あいつらとの旅も終わり、ようやくひとりの世界に入れる…
…あいつらといるといちいち五月蝿くてかなわない……そう、特にあいつだ。あいつの父親も騒がしかったが、あいつの馬鹿さ加減といったら……口に出すのも疲れる。もうあの馬鹿の面倒も見なくてすむ………やっと
終わったんだ…
…………本当に終わってしまったんだな……
神によってつくられた存在するはずの無い
生命……神への叛逆は自らの終わりとわかっていた……でも僕は何のためらいもなしにその道を選んだ……それがあいつらの望みであり、僕自身の望みであったからだ……あの時もそうだった。あいつの父親との戦い……
あの時僕は一人の愛する人と仲間を天秤に架けた……あの時の決断、判断に後悔はしていない今回もまた同じだ……
…僕は……一度死んだ男にはあまりに大きなものをえてしまったから……だから……。
「フッそろそろこっちの方も終わりに近いか。」
消えゆく意識の中で少年は一言呟く。
「息子はやはりお前にそっくりだったな……
能天気で無鉄砲でそして……やはりお前の息子なだけあった。あいつはもう立派な………
ゆう……しゃ……だ。」
少年はすでに無い目で目を瞑る。
「最後にお前らに会えて本当に良かった……
ありが………とう………。」
そこで少年の意識は無くなった。少年は漂う
何も無い身体でこの漆黒の海をどれだけ長い時間なのかは分からない。終わりなき航海…
生きている時間などほんの一瞬のようなものだ……そして人は形をかえて生まれ変わる。
それがこの世界のルールなのだから……少年はそのほんの一部の存在に過ぎないそう取るに足らない存在なのだ。人は何かにつけて意味をつけたがる。自分は何故存在しているのか……その答えは誰にも分からない。どうやら、そろそろ少年に迎えが来たようだ。
少年はこれからどのように生き、何を
求めるのか。……そして……その意味を見つけることができるのか………
「……………………………!?」
少年は意識が戻ったことに気づく。
暗闇の中消えかけていた……いや、消えていたはずの意識が……
「……どういうことだ?……うっ……何だ…
…眩しい……。」
少年の目の前の空間が突然光に包みこまれて
いく。
「……なんだ……この感覚は……。」
自分の身体はすでに闇と同化したはずにも
かかわらず……感じる……この光……輝き…
…そして生きていた頃の感覚……その身体の細部……細胞の一つ一つが蘇り始めているのが分かる。
「これから……僕はどうなるんだ……。」
少年はその光に身を委ね、薄れゆく意識の中、新たなる世界への不安と希望を胸に抱き、再び大海原へと旅立つ。