Tales of Colloseum

□1,I want to be a "hero" 前編
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    I want to be a hero=@前編



「今日、この日我が世界デイラスに課せられた使命。マナ流しの代表を選抜するため、これより闘技大会を開催する!!」

アナウンスが流されると観客は興奮し、観客の声が闘技場内に響きわたっていた……闘技場の大きさはオレの世界のノイシュタットと変わらない……そして、この独特の……この場所、ここに立ったものしか分からない空気……ここにはそれがあった。

「今より、予選1回戦を始める代表者は中央へ…。」

声が流れるとカイルの目の前の扉が音をたてて、ゆっくりと開き始める。

「これから……はじまるんだよな……。」

顔には出さないが、心臓の脈は自然と速くなる。目の前の扉が全て開き終わるとカイルはその光の方へ歩きだしていった。

「オレこの試合勝つよ……だからオレの戦い見ていてよね……父さん…。」

少年は熱い想いを胸に秘め、戦いの場へと足を踏み入れていった……。




「では、ここで改めてルールの説明を行う。」

最初に演説した人が再び話始める。

「では、ここで改めてルールの確認させてもらう。本大会はトーナメント方式で、戦闘方式は各チームの代表者による1対1方式。武器は我々があらかじめ支給したものを使用すること他の武器の使用は原則認めないものとする。そして、敗北条件についてだが四つある。まず一つ、気絶もしくは戦闘不能に陥ったとみなされたとき、二つ目に自ら敗北宣言したとき、三つ目に戦闘中にグミなどのアイテムを使用したとき、最後に戦闘中における他チームの選手の妨害およびそれに準ずる行為、それらを行ったチームの代表者は即失格とする。詳しい内容は支給したルールブックを参照すること、以上で説明は終わる。」


アナウンスが終わるとコロシアムは再び観客の声に包まれていった。

「勝たなきゃ、勝ってオレは父さんと……。」

カイルは並々ならぬ決意でこの戦いに臨んでいた。元々願い事に釣られたカイルであったが、カイルをさらに惹きつけたのは父親の存在であった。
はじめ、カイルはこの大会に父親がでることを信じていなかったが、実際に会ってみてすぐに自分の父親であると確信した。しかも、ここにいる父親はカイルの知っている父親ではなく、18年前の先の騒乱時のまだ若さが残った一人の青年であった。

カイルがさらに驚いたのはその腰に収められていた剣であった。それは先の騒乱で、神の目と共に消えたはずのソーディアンであった。
なんで、そんなものがここにあるのかカイルにはさっぱり分らなかったが、この剣が本物であるなら今ここにいる父親はあのミクトランを倒した英雄スタン・エルロンそのものということになる。そんな父親と剣を交えることができるかもしれない……カイルは天にも昇る気持ちであった。

「戦ってみたい……自分の中の最強の英雄相手にどこまで戦えるか……そしてなりより、父さんに認めてもらいたい……オレの強さをだから…こんなとこでつまずくわけにはいかない!!」

カイルは決意を新たにし、中央へと進んでいく。

目の前の相手が徐々に見えてきた…ぱっとみどうやら自分と歳は変わらないようであった。髪は短髪で銀髪、身長も自分とそう変わらない、武器はおそらく背中に背負っている大剣であろう……?ふとカイルは疑問に思った。体はオレと同じく大柄でないのに背中の剣はやけに大きい…あんなのふりまわせるのか?とカイルは思ったが、それ以上深くは考えなかった。
二人は中央で向かい合ったが、目の前の少年は何か落着きがないのか目があちらこちらに泳いでいた。よしいける!!カイルは心のなかでそう思った。

「それでは予選第一回戦 カイル・デュナミス対ルカ・ミルダの試合を行う。選手は戦いの用意を……。」

「絶対に負けない!!」

声には出さずにその思いを心の中で叫んだ。

「試合開始!!」

そして予選一回戦の幕が上がった。
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