ヘタリア

□郵便屋さん、ついでにこれも(独普?)
2ページ/4ページ

次の夜も、郵便屋はどこからともなく現れた。雪を掻き分け、地下室の鉄格子の外に膝を付く。
青年はやはり、鎖で天井から吊されていた。枷をはめられた手首が傷ついている。郵便屋は手を伸ばし、その体を抱き寄せた。鉄格子越しに、その胸に耳を当てる。非常に小さな音が、彼の鼓膜を震わせた。
「兄さん……。」
溜息と共に呟き、青白い頬を撫でた。頬骨の浮き出た顔が痛々しい。彼はマフラーを解き、意識のない青年に巻いてやった……。
「明日は、温かい飲み物持ってくるから……。」
持っていたハンカチを裂き、枷と手首の間に挟むと、郵便屋はそっと手を放した。
「絶対に来るからな、待っててくれよ。……どこにも行かないでくれ……。」
カシャンと音をたて、プロイセンの体は再び吊された。立ち上がりかけた郵便屋が、もう一度彼の頬に触れる。
「ロシアにどんなひどい仕打ちを受けても、放置されても、俺は必ず来るからな、兄さん。」
彼の頬で、パリンと音を立て涙が割れた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ