ショート.

□旅立つ君を止めはしない。だけど誓ってよ、“後悔はしない”って
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「姉様」

『……ユ…ニ………?』

「はい。ご心配おかけしました」

『ユニっ……!!!』


白蘭がボンゴレとの戦いに向かった、と部下から連絡をうけてから、妹でありブラックスペルのボスであるユニの元へ向かった。


白蘭により壊されたユニの精神。
γを筆頭にブラックスペルの皆は怒り、白蘭への反逆を誓い策を立てた。
それを止めたのは他でもない、わたしだ。

何故だ、裏切るのか。

決して首を縦に降らないわたしを見て、口々に皆が言う。
ついには裏切り者とまで言われるしまつ
それでもわたしは白蘭への反逆を良しとしなかった。


――ユニにはユニの考えがある――


幼い少女にしか見えないユニだけども、大空のアルコバレーノで、ジッリョネロのボス。
彼女がなんの考え無しにあの会合の席に座ったのではないはずだ。

そして彼女には不思議な力がある。
お母さんや御祖母様の様に先を見る力、それ以外の力が彼女には…。
どんな力かはわからないが白蘭が居ない今、再びわたしに向かって笑いかけてくれている彼女がいるということは、わたしの予想は当たっていたのだろう。



「姉様、お願いがあります」

『お願い??』

「白蘭が向かった先へ私を連れて行ってください」

『・・・わかったわ』


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─────────
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『ユニ、聞いてもいいかしら』

「はい。」

『あたなが何か大きな覚悟を持って行動をおこそうとしてるのはわかるわ。
別に、私はそれを止めようとは思わない。
でも何をしようとしているのかは教えてくれない?』

「・・・アルコバレーノを、復活させます」



私の質問に、真っ直ぐ前を向いたまま答えるユニ。
横に並んでるから、私は彼女の横顔しか見えないけども、その声と横顔から、本気だということがわかってしまった。

最強の赤ん坊と言われたアルコバレーノ
今は過去から来た黄のおしゃぶりを持つリボーンと、"なりそこない"のラル・ミルチ、2人のみ。
殺されたり、自ら命を絶ったりして生命反応が消えた他の虹。
確かに、間違いなく死んだが、世界の秩序を守る7つのおしゃぶりを与えられし戦士は、そう簡単にこの世から去ることは出来ない・・・。
ユニが持つ、色の無いおしゃぶりが壊れない限り彼らの魂はこの世界に留まったまま。
いわば、今のあの5人は仮死状態。

条件さえ揃えば、戻ってくることが出来る・・・白蘭はそのことを知らない。
だからこそ、今、ユニがおしゃぶりをもってミルフィオーレから出ることが出来た。


『・・・確かに、白蘭が乱した今のこの世界にあの人たちは必要不可欠。
でも、それをするには多くの犠牲を払わなくちゃいけない、と分かった上で言っているのよね?』

「はい・・・
白蘭の回答しだいではミルフィオーレファミリーを脱退する覚悟も出来ています。」

『・・・・・・ブラックスペルの皆は、貴女を思い日々努力していたわ。
そんな彼らの思いも見捨てられるのね?』

「姉様・・・」

『わかってるわ・・・わかっているの。
あの方々が必要なことも、あなたの覚悟も・・・
でも、でも、だからといって・・・・・』

「姉様。
大丈夫です」



今にも泣きそうな私。
情けない、と思いつつ言葉を続けると、いつの間にか強く握りすぎて長い爪が刺さり、血が流れ出した手を優しく包み込む小さな手。
それにつられてユニの顔を見ると、優しくそして美しく、笑っていた。


――あぁ・・・
――――もう、なにを言っても無駄なのね。



『・・・・・・もう私は何も言わないわ。
でもね、ユニ。これだけは約束して』




旅立つ君を止めはしない。
  だけど誓ってよ、“後悔はしない”って





一瞬驚き、数拍後に彼女はまた花のような笑顔を浮かべた。
約束します、という言葉と共に。







Thank you! 僕と君の方程式                 

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