スマブラ文

□本命は誰の手に?
1ページ/3ページ

「今日はバレンタインデー…か」
アイクがそう呟いたのを聞き逃さなかったマルスは読んでいた本から目を離し、驚いたようにアイクの顔を見上げた。
「君の口からそんな言葉が出てくる…いや、君がバレンタインデーを知ってるなんて意外だなぁ。はっきり言って柄じゃないけどね」
「トキからチョコもらえる日を忘れているわけないだろ」
「ふーん…まぁ彼の本命は僕の物だけどね」
「っ!?いいや俺の物だ!!」
「はぁ?君のその無駄な自信はどこから出てくるんだい…?」
マルスは読んでいた本を机の上に置き、2人はバチバチと火花を散らしながら睨み合った。

「2人ともここにいたか…って、何やっているんだ?」
そこにタイミング悪くやってきたのはサムス。
険悪な雰囲気になっている事など知る由もない彼女は睨み合っている2人に声を掛けてしまった。
すると2人の視線は一斉に彼女へと向けられる。
凄い形相の2人に睨まれた彼女は怯みもせず呆れ顔でため息をついた。

「…何の用だいサムス?」
「用っていうか…貴方を呼びに来たんだ。試合があるんだろう?」
「っ!そうだ、この後試合があったんだ…!!」
「なんだ、なら早く行ってこい。遅れるぞ」
「言われなくたって分かってるよっ!」
試合がある事を忘れていたマルスは慌てて部屋を出ていった。

「ふぅ…どうせまたトキの事でケンカしてたんだろう?」
「まぁ…そうだな。それよりトキを見かけなかったか?」
「(ほんと好きだな…)トキならさっき台所にいたが…今は分からない」
「そうか。とりあえず台所に行ってみる」
サムスにお礼を言いアイクは台所へ向かおうと部屋を出た。
…と、ここで白い紙袋を左手に持ったトキとばったり出くわした。
思わぬ偶然にアイクは密かに心踊らせる。
「トキ!」
「あっアイク!ちょうどいいところで会った!」
そう言ってトキはあいている右手で紙袋の中を探り始める。
「ちょっと手を出し…」
「ああ」
アイクはチョコをもらえると思い、トキが言い終わる前に素早く手を差し出した。
「(早っ!)はい、これアイクの分」
トキはリボンがついた小さな袋をアイクの手のひらに乗せた。
もちろん中にはチョコが入っている。
「…あ、ありがとう…」
「どういたしまして!」
照れながらお礼を言うアイクにトキは満足そうに笑った。

「じゃあ俺、行くから……あっ!!」
用が済んだトキはアイクの脇を通りすぎようとしたが、突然足を止めアイクの顔を見上げた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ