エヴァ文A

□忘れてきた
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「あっ!理科室にノート忘れてきた!」
「おいおい…早く取ってこないと次の授業始まるぞ」
前の授業の理科は移動教室だった。
授業を終えて教室に戻る途中で教科書と筆記用具しか持ってこなかった事に気付いたシンジはトウジとケンスケには先に教室に戻っててもらい、1人で理科室へ引き返した。



理科室の前に来たが中から声が聞こえてくる。次に理科室を使うクラスがいるようだ。
いくらまだ授業が始まっていないとは言え、入りづらさを感じてドアの前で一度足を止める。
「(…時間がないんだ…行かなきゃ!)」
「君、そこにいられると中入れないんだけど」
「は、はいぃっ!!?」
シンジはいきなり後ろから声を掛けられて身体をビクッとさせた。
振り向くと見慣れない女生徒が立っていた。
「そんなに驚かなくたって…」
その女生徒はシンジの反応に苦笑を浮かべる。
「ごめんなさい…あの、前の授業が理科室だったんだけど中にノートを忘れちゃって…」
「ああ、そういう事。じゃ取ってきてあげるから待ってて」
「あ、ありがとう。左のテーブルの後ろから2番目にあるはずだけど…」
「うん分かった」
そう言うと女生徒は理科室へ入っていく。

…と、開いたドアから見覚えのある姿が見え、シンジは思わず声を漏らした。
「あ…カヲル君…?」
「あれ?シンジ君何でここに?」
カヲルのほうもシンジに気付き、廊下へ出てきた。
「…嬉しいな、この時間に君に会えるとは思わなかったよ。でも教室に戻らなくて大丈夫かい?」
「いや…前の時間が理科室だったんだけどノートを忘れちゃって戻って来たんだ……カヲル君がいるって事は、3年生?」
「そうだよ。ノート取ってきてあげるからどこに座ってたか教えてくれないかい?」
「ありがとう。でも、せっかくだけど大丈夫だよ」
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