短夢
□君に好きって言ってほしくて
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「なあなあ!杜城っ!」
予鈴がなる五分前
みんながあわただしく席につき始めたころ、隣の奥村が私に話しかけてきた。
「何?」
奥村とはこの間の席替えで隣になった。
何だか怖い噂が沢山たっていることで有名だけど、私にはそんなに悪い人には見えない。
何だかんだ暴れるときは正当な理由がある。それに喧嘩となると大体奥村が正しい
この間も弟の奥村雪男をいじめてた連中をボコボコにしていたし
だからきっと手癖が悪いだけで、根は悪いやつじゃないんだ…と私は思う
「あの…さ、ちょっと変なこと聞くんだけど…いいか?」
奥村は何やら言いづらそうな顔でそう言った。
反らしがちな目線、気まずそうな口元から大体察しはつく。
もしかして、何か物とか隠されたんじゃないかな…
「宮尾のこと、どう思う?」
へ?
「えっどうって…え、」
予想外過ぎてなんと言えばいいのかわからない…っていうか宮尾?宮尾って奥村の数少ない友達の?
どうって言うと…
「結構話があう、かな?」
「おっおう…そっか…」
私がそう伝えると奥村はさらに気まずそうな顔をした。
「あっ!じゃあ、小森はどう思う!?」
また!もう奥村の考えてることがわからない!
まさか宮尾と小森は私のことが好…なーんて上手くいかないのが現実で。
じゃあ奥村は何を知りたいのよ!?
「小森?顔はかっこいいんじゃない?性格がちょっと嫌だけどね」