僕はショコラ。うさぎのぬいぐるみ。
僕のご主人様は女の子。可愛い青い髪が綺麗な女の子。
買われた時は男の子だったけど、それからご主人様――――、小雪ちゃんの元へ渡った。
小雪ちゃんは笑顔が絶えない子だった。そう、引っ越しするまでは。毎日僕を抱きしめて笑って、いっぱい色々な事を話してくれた。「今日、サッカーでね…、」
でも、北海道っていう寒い所に引っ越した時にはもう、もう…
僕は何か出来ないか考えた。ぬいぐるみの僕が、小雪ちゃんになにか、
でも所詮ぬいぐるみだった。喋る事だって歩く事だって出来ない僕は、何も出来ないまま…。夜になると小雪ちゃんは僕を抱きしめて泣く。僕は“こころ”が痛んだ。
ただのぬいぐるみに宿った“こころ”はとても悲しかった。まえの“こころ”は楽しかったのかな、
大好きだったサッカーも止めて、家の回りを僕と一緒に歩くだけ。
でも、そんな小雪ちゃんを変えてくれた人が二人居た。隣の家に住む、吹雪士郎って言う子と吹雪アツヤって言う子。双子だった。
その子達はサッカーをしていた。小雪ちゃんが、忘れた“こころ”
その子達はその“こころ”をまた、ちょっとずつ小雪ちゃんに思い出させてくれた。
その日から、小雪ちゃんは少し、ほんの少しだけど笑うようになった。
僕はショコラ。うさぎのぬいぐるみ。
僕のご主人様は女の子。可愛い青い髪が綺麗な女の子。
「ショコラ、寝よっか」
小雪ちゃんは、
今日も笑ってる。
僕はショコラ
(また、笑顔が無くなるのは少し先の話、)
.(20091017)
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