プラトニックシリーズ
□あなたと離れるきっかけ
1ページ/1ページ
初めて話したあの日以来、学校生活が忙しくて公園に行く機会が少なくなった。
たまに帰り際、寄ってみたりしたけれど会うことは一度もなかった。しかし私は懲りずに学校が落ち着いた今日、また公園にやってきてしまった。
「……あ…」
入り口に踏み入れた瞬間、すぐに気がついた。あの人がいる。ああ、胸がはちきれそうになる。木の下で寄りかかって、腕を組んで。
かっこいい、…かっこいい。
気付いたらフラフラと、歩み寄っている自分がいた。
「こ、こ、こんにちは!」
「……ああ、この前のお嬢ちゃんだったか。随分久しぶりだな」
「は!はい!少し学校が忙しかったので!」
久しぶりの優しい微笑み。ああ、いま生きてるんだ自分!なんて今更になって現実味が湧いてきた。
私の理想の人。かっこよくて優しくて紳士で真面目そうな、人。
「オスカー様〜!」
「お待たせしてごめんなさぁい!」
幸せな気分に浸っている最中に、甘ったるい声が聞こえる。向こうからこう、ぼんっきゅっぼんっのお姉さま方がこちらにやってきた。あ、れ?
「ようレディ達、遅いじゃないか!待ってる間すごく寂しかったぜ」
「え」
「本当にごめんなさいね、お礼に今日はたっぷり…」
「それは楽しみだ。俺をたくさん喜ばせてくれよ」
「いやーん!」
「え、え」
『おすかーさま』、と呼ばれたあの人は最初から私がいなかったかのように一度も振り返らずお姉さま方の腰に腕を回して去っていく。
かっこよくて、優しくて、紳士で、真面目そうな、理想の人。
あなたと離れるきっかけ
(思うことはひとつ)(死ね『おすかーさま』)