短編

□浅草くんと日比谷ちゃん
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「はぁもう一辺言ってみなさいよ!!この万年お祭り無職男!」
「ああ、もう年で耳が遠いんだな…可哀想に。もう一回ゆっくり言ってやるよ、この年増ヒステリークソばばあ
周りの目を気にせず、年の割に非常にバカらしいケンカをしている、この2人。
まあ、周りもすっかり慣れて口出しなどアホらしいことしないのだが。
浅草線と日比谷線である。
そもそも何でこんなに仲が悪いのか。
疑問を抱いた半蔵門が伊勢崎に昔話を強請ったことから物語は始まる。

浅草くんと日比谷ちゃん

「ねぇ豊と美香りんは何でいっつもケンカしてるの?嫌いなの?」
「違うよ、神。これには色々と訳があってね…」
そう言って武おじさんは神の昼寝の子守歌代わりに話し始めました。
昔、そうあれは確かいつだったかね…
豊の大好きな祭の頃だよ。
大きな祭があるからと2人は生まれたんだよ。
美香は最初から大人びてて、あんな感じだったけれど豊は素直じゃないと言うか、グレている所があってね…。まあ、それは若さ故の些細な過ちというか何というか…。
でも豊はその頃から仲間を大切にする優しい子でね。
その仲間を美香が侮辱したことがあるんだよ。
それからかなぁ〜2人が毎日のようにケンカをしだしたのは。
っておや、寝ちゃってるね。まあ、よしとしよう。
「武兄さん、神も寝ちまったし…そろそろ…」
慧が言った。
「ああ、そうだね。」
「豊、美香…」
「「ああっ」」
「「あっ!いえ、すいません。何でしょうか。武様。」」
「神も寝ちゃったし、そろそろ静かにしようか。」
「「はい…」」
その後、美香と豊は冷や汗ダラダラで武の機嫌をとっていたという。
そして神は何も知らずに平和に昼寝。
これが続くうちは世の中平和だろうな…とひっそりと思う慧であった。
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