CLAPお礼ストーリー
《桂木大地》
ただ繰り返すだけの日々だった
いつも同じ靴を磨り減らし、変わらぬ街の景色を横目に歩む日常
足早に過ぎる時間に身を任せることにすっかり慣れてしまっていた俺は、別にそれでもかまわないと思っていたんだ
『大地さん、お仕事頑張ってね。私は大丈夫。寂しくなんかないよ』
仕事の合間のちょっとした休憩時間にかける電話の向こう側
明るく振る舞う**の声が切なく胸を締め付ける
忙しいのを良いことに俺はいつも君に寂しい思いばかりさせてるよな
大丈夫だからと強がる**を前にしたら、俺は何も言えなくなって甘えてしまうんだ
仕事で疲れてる俺を気遣って心配かけまいとしてるのが、手に取るように分かっているくせに
「昴にでも聞いて、今度の休みは女の子が喜ぶようなサプライズでもしようか」
携帯の通話ボタンをオフにして、まだ君の声の余韻に浸りながら更けゆく夜の街に視線を移した