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□晴れのち苛立ち
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天候は晴れ。
いや、正しくは快晴と言うべきか。

場所は屋上。
学生にとって一度はサボってみたい場所No.1でもある此処に僕はまだ、昼食も食べずにいた。

何故なら人を待っていたから。


(20分…)

かるく苛々し始めた時、やっとドアは開かれ目的の人物が悪びれもせず髪を弄りながらやってきた。

―――――――……


「友達、やめよっか」

それが僕の第一声。

目の前にいる僕の『友達』は呆気に取られたような顔をしている。

「は?何、言ってんの?」

「だからさ、友達なんてもう、やめよう?」

「何で?」


「重いから」

理由は単純。

"重いから"

ただそれだけ。


「僕は君みたいに重い奴は嫌いなの」

僕がそう言うと彼は何か文句を大きな声で言い放って何処かへ行ってしまった。

彼は僕の事を親友か何かとでも思っていたのだろうか。

僕は彼の事をただの知り合い程度にしか思ってない。

『友達』という名に分類された"ただの"知り合い。

(くだらない…)

友達だとか言われる度に思う。

くだらないと。



「…あー。お腹空いた。」

―――――――……


彼と縁を切ったのが2、3日前。

その日以来、クラスに居場所は無くなった。

まぁ、元々あって無いようなものだったが。

だから、今は屋上はお気に入りの場所。

それにしても、やっぱりリーダー格の奴は違う。

たった、2、3日でクラスの大半を味方につけてしまうのだから。

(まぁ、僕はそんなのいらないけど)

屋上までの階段を上り、ドアにかけられた南京錠を"合鍵"で開け、お気に入りの場所へ。

勿論、屋上自体お気に入りの場所なのだが、屋上での最近のお気に入りの場所は給水塔の近く。

はしごを上って高い場所へ行くと人が見下せ……ごほん。

…校舎全体が見えて中々、気分がいい。

(フェンスの近くも中々、捨て難いんだけど…んー…)

ジャムパンを頬張りながら、お気に入りの場所のNo.1を悩んでいると普段自分以外には誰も来ない屋上に誰かがやってきた。

(ん?…生徒、か?あれ?)

恐らく生徒であろう人物がフェンス近くまで行き腰を下ろすとポケットから煙草を取り出し吸いはじめた。

男子生徒はこちらには気付いていないらしく携帯をいじり始める。

(………。)

30分程度で男子生徒は戻って行った。


鍵をかけて。

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