〜この手に太陽を〜
□失踪
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その後俺は、行き倒れかけていたところをとあるバアさんに拾われ、江戸のかぶき町に移り住んだ。
街は復興し、戦の爪痕は消えていった。
ただ以前と違うのは、通りを天人が往来し、空には船が飛び交っている事。
それらを見ると胸が苦しくなる事も有るが、技術も発展し暮らしが随分便利になるなど、良い事だって有った。
…辰馬は相変わらず、宇宙を飛び回っている。
ヅラはまだ、攘夷活動を続けている。
高杉もあの鬼兵隊を復活させ、幕府とやり合っている。
だが俺は、そんな気にはなれなかった。
だから今は万事屋を営んでいる。
これなら誰かを失う事も無い、運が良ければ誰かを救う事だって出来る、
そう思ったから。
まァ結局、そうやって歩いている内に、また大切なもんが増えてきちまったがな。
…なァ、陽路
俺は今、幸せだぜ?
ただ、隣にお前が居ねェ事が、時々寂しく感じるんだ…
それでも時は、進んでいく。
気が付けば、終戦から早八年の歳月が流れていた…
終章:かぶき町へ続く
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