〜みんなの日常〜

□彼女の服装事情
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※注意書き


ほぼ会話文です。駄文です。
下着がどうこうという会話も有ります。








――――――−…‥






ある日の事、その話は監察方である山崎退の



「ねぇねぇ。
鈴ちゃんって服着る時、体型の補整とかやってんの?」



という一言で始まった。





〜彼女の服装
情〜






今日も相変わらず男の格好をしている少女、海堂鈴は、常人なら「いきなり何言い出すんだコイツは」、と思ってしまうであろうその台詞に動じる事無く、物干し竿から取り込んだ大量の着物や隊服を丁寧に畳みながら答えた。



『はい、一応はしてますよ。
男物を女の体型で男と同じように着付けると、着崩れてしまいますので。
かといって帯の位置を上げると、見た目があまり良くないですし』


「へ〜 そうなんだ。
あんま胸無いのに


『フツーに聞こえてるんですけど山崎さん。
大人しく聞く気が無いなら洗濯物全部持って部屋から出てって下さい。
つーかその煩ぇ口に刀ぶっ刺して二度と口利けねぇようにすんぞ』


「ひっ!すんません大人しくしますんで刀収めて下さいお願いします!
口利けなくなるどころか死んじゃうから!」


『…とにかく私が補整してんのは胸じゃなくて腰の方だ』


「はい…」


『腰に補整パッド巻いて、寸胴になるようにしているんです。
まぁ後は特に何もしてませんね』


「じゃあ胸は?

…って誰も小さいだなんて言ってないだろ!?
頼むから俺の口元で抜き身の刀ちらつかせないでよ!恐いよ!」


『はいはい』


「ふぅ…」


『大体はスポーツブラか着物用ブラです。
あと気が向いた時はサラシ巻いてますけど』


「そしたら普通のって持ってないの?」


『普通のって、レースとかフリルが付いているやつの事ですか?』


「うん」


『それなら三着持っていたんですけど、二着は古くなったんで捨てました。
ただ後の一着が、どこを探しても見当たらなくて…』


「えっ!
それって盗まれたって事!?」


『いや、う〜ん…そうかも知れませんけど、私が間違えて捨てたって事も考えられますしねぇ…』


「あァそういう事も有るか…
屯所の男連中が盗んだか、また褌仮面が出たのかと思ったよ」


『褌仮面…?』


「何年か前に起きた下着盗難事件の犯人だよ。
ネーミングセンス無いよね〜」


『あはは! 確かに!
…って屯所の人が盗んだとか言いませんでした?
有り得ませんよそんなの。
ここって警察の敷地内ですし、皆さんも一往警官なのに』


「うん。でも女に飢えてる人が居るのも事実だからね」


『だとしても私のを盗むってどんな神経してんだよ。
私が男だったら嫌だなぁ、こんな女の下着盗るのなんか』


「こんな女って…
そんな事言われちゃあ、その君と付き合ってる俺の立つ瀬が無くなっちゃうんだけど。
俺にとって、君は自慢の恋人なのにさ」


『なかなか嬉しい事言ってくれるじゃないですか、山崎さん。
私、凄く照れちゃいます』


「うん、そういう台詞は照れた顔して言おうか。
真顔じゃなくて」


『まぁそれはそうとして、聞きたい事ってもうこれだけですか?』


「ううん、まだ有るよ。
鈴ちゃんはいっつも男装してるけど、女物は嫌いなの?」


『あ〜 嫌いって訳じゃ無いんですけど、帯とか装飾具とか色々高くついてしまうので。
まぁ男装は動きやすいですし、胡坐かくとか誰かを蹴ったりとか少々行儀が良くなくても大丈夫ですしね』


「…胡坐はともかくとして、蹴るのは良くないよね、行儀云々じゃなくてさ。
女の子としてどうかと思っ…

―げしっ

「痛っ!」


―げしっげしっ

「ちょっ!痛っ!
言った側からそれかよ!
痛っ!」


『別に構わねぇだろぉ?
女がどーだとかさぁ。
私は私なんだし、行儀良くしようと思えば幾らでもできるんだからよぉ。
そうだよなぁ?ジミーくん〜?』

―げしっ


「わ、解ったよ解ってるよ!
俺が悪かったです!だから止めて下さい!

……た、助かった…」


『他には有りますか?』


「切り替え早ぇなオイ…

…それじゃあ男装で一番好きな格好は?」


『う〜ん、やっぱり着流しですかね、なんか格好良く見えるから。
まぁ袴も好きだし、今の山崎さんのような膝下丈の着物にズボンってのも好きですよ』


「ふ〜ん、そっかぁ。
あ、夏の時期は凄く薄着の時も有るよね」


『はい。袖無しで膝上丈の着物に五分丈のスパッツだったりするんで』


「そうそれ! 俺結構好きなんだ。
あれは可愛いと思うよ。
ひらひらの兵児帯とか生脚とか活発に見えるし」


『生脚…なんか変態みたいな発言ですね、山崎さん』


「いや、そういう意味じゃないから、健康的だっていう意味だよ。
確かにムラッとした事が有るのは否めないけどね…


『心の声が漏れてます』


「あ、ごめん」


『いえ、別に今更なんで、もう良いですよ。

…あと色柄は、落ち着いているやつでも派手なのでも綺麗なのでも好きです』


「じゃあほぼ何でも有りって事なの?」


『ええ、簡単に言っちゃえばそういう事になりますね。
後は似合っていれば」



ここで鈴は、やっと畳み終えた洗濯物を部屋の隅に寄せて、山崎に尋ねた。



『そう言う山崎さんはどんな服装が好きなんですか?』


「俺? 俺は結構派手なのが好きかな。
まぁ私服で仕事する事も多いから、目立たないのが殆んどなんだけどね」


『じゃあ一番のお気に入りは?』


「配色が群青色と白磁色の、兎の着物だよ」


『ああ…あれなんですね。
確かに山崎さんの優しい雰囲気に似合ってらっしゃいます。
私もあの着物、好きですよ』


「そ、そう…?」


『ええ』


「ありがとう鈴ちゃん。
君にそう言ってもらえて嬉しいよ」



鈴の肩を抱き止せる山崎。

の頭に、


―ガッ

「っ!?」


開けっ放しにしていた障子の外から飛んできた、マヨネーズのチューブが命中した。



「っつ〜…地味に痛い…
何すんですか副長…!
折角良いところだったのに…痛っ!?」


「俺ァ土方コノヤローじゃありやせんぜィ。
っつーか俺の目の届く範囲でいちゃついてんじゃねェよ」



そして再びマヨネーズをぶつけながら戸口から登場したのは、一番隊隊長の沖田総悟だ。



『こんにちは、総悟さん。
今日も土方さんに嫌がらせしてきたんですか?』


「いや、これからこの普通のマヨを激辛マヨに入れ替えるところなんでさァ。
丁度明日の朝に新しいのに変えそうだからねィ、その下準備。
…お前もそっちのを手伝ってくれねーかィ?」


『ええ!
喜んでお手伝い致します!

って、あれ? 隊服の内側に何を入れてらっしゃるんですか?』


「ああコレかィ?
少し前に、お前ェさんの部屋の押し入れから失敬したもんだぜィ」



沖田がぴらりと見せた物、それは、



『なっ!? ああッ!!
それ私のブラじゃないですか!!
犯人あんただったのかよ!!』


「あはは〜!
鈴でもこんなん着けるんだねィ」


『「あはは」じゃねーよ!
さっさと返しやがれ!
マジでぶっ飛ばすぞテメー!』



部屋を飛び出して行く二人。


一人取り残された山崎は呟いた。



「え…なんか俺、ほぼ空気になってんじゃん…」




そして翌日午前七時半、



「総悟ォッ!! 海堂ォッ!!
テメーら俺のマヨネーズに何て事しやがったんだァッ!!」



眼に涙を浮かべた土方の怒号が、屯所中に響いたのだった。





〜終われ〜





―――――−…‥


*群青…ぐんじょう■■

*白磁色…はくじいろ
  (ほんの僅かに緑がかった白)


【後書き】


大変な駄文、失礼致しました。

でも書いていて楽しかったので、後悔も反省もしてません←おい

あ〜 楽しかった♪


結局鈴は総悟の嫌がらせの手伝をしました。
この話の時系列は、第玖章一話目の前日ですね。


では!


平成23年11月26日(土)


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