〜みんなの日常〜
□縁側の天使
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時系列:
一年目八月初め(四章半ば)
――――――−…‥
うだるような暑さが続く八月。
しかし今日は僅かに涼しく、気持ちの良い風も吹いていた。
そしてここは、真選組の屯所。
さわさわ… さわさわ…
と風に揺れる、緑色の葉の二本の桜のすぐ側の縁側の縁(ふち)で、猫の様に丸まって眠っているのは鈴だ。
その表情は、今吹いている風の様に穏やか。
そんな彼女に、静かに歩みよってくる男が一人。
監察方の山崎退だ。
彼はつい最近自分が鈴を好きだ、ということを自覚したばかり。
「鈴ちゃん、寝てるの…?
…っ!」
(かっ、可愛い…///)
鈴の寝顔を見た山崎は、とたんに顔を赤くした。
自覚してからは彼女の仕草一つ一つにときめいていたりする。
「お、山崎。
何やってんだ?」
そこにやって来たのは局長のゴリラ…
ではなく、近藤勲と
「鈴の寝顔にでも見とれてたんですかィ?」
一番隊隊長の沖田総悟だ。
「‥‥///」
「何赤くなってやがんでィ。
ジミーのくせに」
そう軽口を叩く沖田自信も、鈴のことを好いているのだが。
「っ! 違いますよ!」
「お前ェは分かりやすいんだよ」
そう言いながらやって来たのは、副長の土方十四郎。
「それで監察やってるだなんてよく言えるな」
「副長まで…ι
やめて下さいよ…
一応気にはしてんですから」
「まぁ、鈴ちゃんは男っぽいところはあるが、やっぱり女の子だよなぁ」
近藤は娘でも見るかの様にそう言った。
「寝顔なんて天使みたいでさァ」
沖田は目を細めながら、珍しく優しい表情で彼女を眺めている。
他の二人も口にはしなかったものの、その通りだと思った。
化粧もせずに男物の着物を着て いそいそと働いている普段の彼女の姿は、パっと見は少年だ。
しかしこうして縁側で眠る姿は、あどけない天使の様な少女そのものだった。
「あ、そうだ。明日の幕府重鎮の護衛のことで、言わんといかんことが有ったんだった。
三人共、俺の部屋に来てくれ」
「局長。
鈴ちゃんは起こしますか?」
「いや。気持ち良さそうだからそのまま寝かせておいても良いだろう。
さぁ 行くぞ」
―――−…‥
近藤の話は直ぐに終わり、山崎はまだ眠っているであろう鈴の元へ戻ってきた。
「‥‥‥‥。」
彼女は確かに縁側で眠っている。
が、
西陽が射してきて暑かったのだろうか、今は縁側の縁ではなくど真ん中で…
「全く、女の子なのに大の字になっちゃって。
寝相悪かったんだ…
ま、そんなとこも可愛いと思っちゃうんだけどね」
山崎はそう呟きながら彼女を抱きかかえ、部屋まで運んでやった。
さわさわ… さわさわ…
気持ちの良い風は、まだ吹いていた。
〜終〜
後書き↓
制作時間は一時間半!
ワタシにしては早いゾ!
実はこの番外編書いたの壱章弍話目を更新した後だったから、ものっそい前なんだよね(笑)
まぁ第参章をUPしてからじゃないと出せない内容だからね。
いや〜
にしても書くの楽しかったァ
なんか書いてて
「ぅおぉぉ(≧∇≦)」ってなった。
(↑完全に変な人だ)
読んでくださりありがとうございました!