〜短篇集〜

□星を掴む
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ある日彼女は、光の粒が散りばめられた夜空を見上げて言った。



「ねぇ、あそこに在る星を、この手に掴めたら素敵だと思わない?
きっとキラキラ輝いて、宝石みたいだと思うの」


「なんだか随分とロマンティックな発想だな。
でも、俺もそう思うよ」


「肯定してくれて嬉しいわ。
だけど私、こうも思うのよ。
たとえ掴めたとしても、それって単なる土のような物だったりガスのような物だったりするんだから、全然綺麗なんかじゃないかも、って」



まぁ、それは確かにそうだ。

科学的に色々証明されている世の中。
夜空に輝く星の実際がどうか、だって事も例外ではない。


でもよ、人生ってのはそうじゃないと思うんだ。



「そんな事、掴んでみないとわからないじゃないか。
もしかしたら土だらけの星にもガスだらけの星にも、何か良い物が潜んでいるかも知れないだろ?」



俺がそう言ってやると、彼女は少しだけだけど目を円くした。


そして俺は、言葉を続ける。



「それにすぐに見えなかったとさてもそれを見付けるのは自分自身だし、何も無かったとしてもそれを価値有るものに変えるのだって自分自身だ」


「…うん、」


「だからよ、不安がるなとか恐がるなとかは言わないけど、もう少し自分を信じてやっても良いんじゃないか?」



自分達の人生をどうさせるかは、自分達次第だ。


あの夜空に浮かぶ光達のように、自分達の可能性は至るところに散りばめられているのだから、悩んで迷って掴んで、変えたければ変えていけば良い。


そしてそれは、きっと科学なんてものだけでは、証明されないのだろう。


俺はそう、信じていたいんだ。




〜星をむ〜



(決断に迷う彼女と、
決断した先に希望を求める俺と)










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物語を読んでくださり、ありがとうございます。


内容の出来は如何でしたか?

何かに迷っている皆様とこれから新しい人生を歩む皆様への、管理人からのメッセージも含まれていたりもします。

不安な気持ちを受け入れたり乗り越えたりするのは大変ですが、希望は忘れたくないものですよね。


ちなみに私は、人生というものは「おもしろおかしく楽しむ」事が一番重要だと思ってます。

まぁ実際には難しいですけどね。

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