恋 〜消えない罪〜
□第一話
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意識を失う前に見たのは幼い愛しい人の姿だった。
あれは夢?あれは幻?
余りに強く思いすぎて願望が夢となって現れたのだろうか?
『くすくす、違うよ。あれは本物、あれば現実だよ優美』
「!?」
『やぁ、初めまして藤原優美さん』
「・・・・誰?」
『ボクは君達の世界で言うところの【神様】ってヤツかな』
「かみさま?」
『そう、君の願い通りに、ボクは君を『テニスの王子様』の世界に連れてきてあげたんたよ』
「!?」
真っ白で何もない世界に立つ私と神様と名乗る青年。
そこには本当に私と神様しかいない。
神様は笑いながら信じられない事を言った。
連れて来た?テニスの王子様の世界に?
じゃあアレは・・・・。
『夢じゃなく現実だよ』
「嘘っ・・・・」
『あはははは、嘘が良かったの?』
「違う!!!違います!!」
『あははははははっ、やっぱり何処の時間にいても『君』はボクを楽しませてくれる』
「え?」
『ううん、ボクは優美、君と言う人間が凄く好きなんだよ』
「へ?」
『普通の人間とは何処か違う考えを持つ『藤原優美』と言う人間は本当に興味深いし面白い。皆それぞれ性格も考え方も違うのに、普通とは違うからね』
「あの、言ってる意味がいまいちわからないのですが・・・」
『あはっそうだね、まあそれはいいとして』
なんだか見た目の割りにとても無邪気に笑われる人だ。
『君は今、確かにテニスの王子様の世界にいる、だけどボクの【手違い】でね、少し問題が起きたんだ』
「問題・・・・・『優仁』ですか?」
『ご名答、聡くて助かる。そうなんだよ、ボクは確かに君、藤原優美をこちらに運んだつもりだったんたけど【手違い】があったみたいで、この世界では優美としては生きていけないんだ』
「それって・・・・」
『単刀直入に言うね♪この世界での君の設定は、仁王優仁、現在11歳。君の大好きな仁王雅治の双子の弟になる』
「あ・・・・弟って」
『そう、君は『優仁』として、男としてこの世界で生きていく事になる』
「そんなっ」
全身から力が抜けた。
その場に座り込む。
せっかく、この世界に来たのに・・・・。
弟で男・・・・。