恋 〜消えない罪〜
□第二話
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事故から二ヶ月が過ぎ、全身を駆け抜けていた痛みは漸く落ち着いた。
あれから一度夢の中に出てきた神様が言うには、痛みが消える事は無いのだと言う。
【発作】と言うモノに形を変えた痛みは、身体がこの世界に完全に定着するのまで、定着していない部分がある限り続くのだと言う。
一日起きが二日起きになり、徐々に回数が減ってはいくらしい。
それがこの世界で生きていく為、私に与えられた罰。
命に関わる状態から脱出して容態も安定していると言う事もあり、ケガが治った所で退院の許可がおりた。
まだ外を走り回ったり等は無理だけど、ちゃんと自分で行動できる事は嬉しかった。
引っ越してきたばかりの家。
車から降りようと手を貸してくれる仁王にドキドキする。
「大丈夫か優仁?」
「そんなに心配しなくても平気だよ雅治、ボクはもう大丈夫だから」
「じゃけど・・・」
「大丈夫」
「ほうか?ならええじゃが」
こうして心配して気遣ってくれる事が嬉しい。
例えそれが罪悪感からきているものだとしても、傍で動いて触れられて大切に思われる、それは現実の世界にいたら一生有り得ない事。
これだけでもう、十分だ。
「ベットは上と下変わったからな優仁」
「へっ?」
「前はオレが下じゃったが、今日からは優仁が下」
「それは・・・別にいいけど、いいの?」
「ええんじゃ」
そう言ってニッコリと笑ってくれた仁王の顔にトキメク。
この気持ちだけは報われない、この気持ちを絶対に悟られずに隠し通す事が私の償いでもある。
今ある幸せを失わない為なら私は何だってやってみせる。