恋 〜消えない罪〜
□第三話
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俺には双子の弟がいる。
弟の優仁には勉強も運動も何でも何時も負けていた。
どんなに俺が先に始めていても後から始めた優仁にあっと言う間に追いつかれて追い抜かれる。
誰とでも仲良くなれる俺には沢山友達はいた、それに比べて口下手な優仁にはほんの数人の友達がいる程度だった。だけど。
体調を崩したりして学校を休むと、優仁の友達は全員心配してお見舞いに来たり電話をしてくるのに俺の友達は誰一人としてそう言う事はしてくれなかった。
何でも俺の真似をして、そして俺以上になっていく優仁の事が俺は・・・・。
堪らなく嫌いだった。
あの日も切欠は両親の一言だった。
随分前から決まっていた家族旅行、ずっと楽しみにしていたのに、当日になって優仁が熱を出した為にそれが中止になった。
仕事の多忙な父親が連休を取れるのはかなり稀な事で、この日を逃したら次が何時になるのかわからない、それがわかっていただけに、我慢が出来なかった。
「優仁だけ置いていけばいいんだ!」
「雅治っ!」
バシッとリビングに音が響いた。
生まれて初めて父親に叩かれた。
世界の全てが自分じゃなく優仁を中心に回っている、そんな気分になった。
だから、悔しくて悔しくて、家を飛び出した。
なのに。
自分を追いかけてきたのは、寄りにもよって張本人である優仁。