幸せのカタチU
□第三十二話
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初日から波乱の幕開けとなった実行委員生活、物凄い不安を抱えながら翌日登校したのだが、想像とは違い何事もなく平穏に学園祭の準備は進んでいった。
各部活の出し物から毎年恒例のミスター・ミスコンテストの開催と体育館を使った有志によるライブ、各クラスの出し物と本当に順調に決まって準備が進められていたから私は忘れていた。
実際に自分にとって実害のある幸村や跡部それに仁王の事ばかりを警戒していたせいか自分の状況と言うものをすっかり頭から抜けていた。
「声が小さくて何を言ってるのか聞こえませんー」
「しっかりして下さい実行委員さーん」
黒板にチョークを走らせていた手に力が入りボキッと言う音を立てて持っていたチョークが短くなる。
ゆっくりと振り返ればニヤニヤと笑っている女子達の姿。
本当に記憶からすっかり消していたよ、自分が苛められている子だと言う事を!
人に無理矢理実行委員なんて面倒なものを押し付けておいて、幸村達が同じ実行委員だと知ればこの態度ですよ、本当に馬鹿って言うか間抜けって言うか。
だけどよくよく考えてみれば、他のクラスやクラブの出し物がトントン拍子に決まっているせいか自分のクラスがまったく進展していない事をすっかり忘れていた。
正直、実行委員なんてものになって当日はそんなにクラスの出し物に参加しないつもりでいたから、興味を持てないせいもあるかもしれない。
まあ、だからと言ってそろそろ彼女達の虐めと言う名の嫌がらせでこれ以上のタイムロスは避けないとならないようだ。
「『聞こえない』人もいるようなので黒板に今まで出ている案と、一応王道な出し物を書き出しておきました、何か意見等がある人は挙手でお願いします」
事前に調べておいた過去の出し物の案等を黒板に書き出し、現在出ている喫茶店と劇も書いた。
聞こえないと言うならこれを見てもらおうじゃない。
こっちは何度も仕事でグダグダした会議に参加していたんだ、会議を簡潔に終える為の方法なんて熟知してるっての。