恋物語
□第一話 彼を思い出させる彼
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テニスの王子様の原作時間軸にたどり着くまで後二年、すなわち私は原作よりも前に異世界トリップと言う事になる。
望んだのは幸村精市の傍にいる事。
幸村精市のいる世界に存在する事。
たった、それだけだった。
家族も友人も過去も未来も捨てて、私はアニメ&漫画の世界と言う異世界に存在する事を選んだ。
それは夢見る少女達の最も多く願われる願いだろう。
『彼等のいる世界に行きたい』
よく小説などで見る、特殊な設定それはあるだけでとても世界を楽しむには必要な事なのかもしれないけど、私には、その世界に行けると言う事だけで十分だった。
多くを望むと叶わないような、そんな気がしたから。
これが、本当に夢だと言われる気がしたから、だから。
それ以上は願わなかった。
辿り着いた世界で、彼等いた。
だけど、アニメや漫画では知らない知ることが出来ない、彼等の日常に触れて欲が出た。
見ているだけでいいと思っていたのに、そこにいるだけで十分だと思っていたのに、近くに感じれば感じる程、ドンドンドンドン貪欲になって・・・。
トリップして二年、奇跡的にも同じクラスになった最愛の彼、幸村精市と私は必死に仲良くなった。
ミーハーにならないように、普通を装って細心の注意を払って近づいた。
夏休み前に、告白してOKを貰えた時、中身20歳にもなって感動して泣いた。
嬉しくて、嬉しくて、毎日がまるで少女マンガのヒロインのように幸せだった。
だけど、どんな恋にも始まりがあるように、終わりが来る恋もある。
神様と言うのは全てをお見通しだったのだろうか。
自分で終わりを感じた時、不仲だった両親の離婚が決まり、私は母親の実家近くに一人暮らしする事が決まった。
その時思ったのだ。
これは、欲をかいた私への罰なのだと。