恋物語

□第二話 距離
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 ※ヒロイン視点



 転校して来てから早くも一週間が過ぎた、自分の知っている大阪とは似ていて違う大阪の生活にも漸く慣れてきた。



 「ぎゃああああああああっやめや小春ぅううううううううううう!!」

 「待ってな謙也くぅんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!」

 「小春から早よう離れや忍足ぃいいいいいいいいいいいいい!!」

 「アホかぁあああああああよう見ろやぁぁああああ!!引っ付かれとるのは俺やっちゅーーねん!!!」


 こんな騒がしい光景も一週間の間ほぼ毎日みればいい加減見慣れてしまう。

 一年生の頃の四天宝寺組の生活なんて見る機会なんてなかったから新鮮だ。

 休み時間の度あんな風に騒ぎまくる隣のクラスの忍足・金色・一氏組の漫才(?)は名物なのだろう、追いかけっこが始まれば周囲から笑いが飛ぶ。


 「まぁたやっとんのかアイツ等、ほんましょうがないヤツ等や」

 「・・・・・・・」

 「藤原さん、煩くてしゃーないんちゃう?」

 「そんなこと・・・ないよ」

 「そうか?せやったらええねんけど」


 白石はやっぱり根っからの部長体質なんだと思った。

 こうして隣の席になったと言うだけなのに、やたら面倒見がいいのだ。


 気さくに話しかけてイロイロ気を使ってくれる。

 そりゃあ、女子にモテる訳だ。

 基本は誰にでも優しい、気さくで話しやすくて親切。

 友人が多い、男女関係なく。

 やっぱり幸村とは少し違う、そんな違いに堪らなくホッとする。


 「自分、たまにそんな顔するな」

 「えっ?」

 「苦しそうに笑う」

 「!」


 だけど、こんな風に人のことに聡い所はソックリだ。
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