Game
□参ノ弐
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それから一時間は過ぎた頃、ゆっくりと保健室から幸村だけが出てきた。
ドアの前で待っていた跡部と手塚と白石はその罪悪感に染まった顔にかける言葉もなかった。
中でどんな会話がされたかわからないが少しだけ幸村が大人びた雰囲気になった様に見えたのは気のせいではないきがした。
体育館に戻ると幸村は柳に声をかけて手をかして再び保健室へと戻ってきた。
柳だけが保健室に入っていきそれを見送り幸村はドアの前で大きく息を吐き出した。
「強いなあの子」
「えっ?」
「叶わないと思った事が叶っただけ、不謹慎だけど良かったと、それで十分なんやって」
「………ッ」
白石に言われた優美の言葉に思わず息をのむ。
生まれて初めてした異性との行為とても上手にとは行かずにかなり辛そうにしていた姿を思い出す。
それでも優美は申し訳なさそうに謝っていた。
ごめんなさい、ありがとう、と。
そんな彼女に上手く言葉をかけられなかった自分が情けなかった。
それから時間にして1時間、後ろのドアが開く。
「心配かけたな精市」
「蓮二!身体は!?」
「俺は平気だ、だが……彼女が……」
「?」
「彼女がどうかしたんか?」
「ああ、柳蓮二だ、ヘルプを使いたい」
【柳蓮二ヘルプ使用承諾】
「ホワイトが治療した場合のリスクは何かあるのか?あるならそれはどういうものなんだ?」
【回答。リスクはあります。まず、性交渉の際の体力消費は通常の体力の半分を要します。なのでホワイトの体力を考えると一日に三人までが限界。それ以上は体力を消費しすぎてホワイトが耐え切れず死に至ります。次に、一日の日付が変わるその瞬間に浄化した穢れの分だけ対価としてその身に浄化の花弁を宿します。花弁が完成するまでの間、穢れのレベル分だけの痛覚をそれの数倍の痛みで対価とします】
「ちょっちょっと待ってな!それじゃあホワイトの負担が多すぎやない!?」
【それはヘルプ要求としての質問でしょうか?】
「いやっそうやなくて、それじゃあ、あの子があんまりに……ッ」
あまりの事実に言葉を無くした。
こんな事なら最初に聞いていればと思うが、最初に聞いた所で既に感染者である柳がいた以上それでも自分は優美にそれを願い出ただろう。
だけど、それでもこれではあんまりに優美が可哀想で、幸村はベットまで歩いていく。
グッタリとして顔色の悪い優美の前髪をそっとかきあげる。
行為の後の余韻も感じせる事なくまるで事務的作業のように傍を離れた数分前の自分を殴り飛ばしてやりたくなった。
こんなことならもっと彼女が幸せでいられる時間を作ったのに。
辛いのは彼女、なのにまるで自分も何処かで被害者的な気分だった。