Game

□伍
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 この世界に来て3日が過ぎた、その間特に問題なく犠牲者も出ることはなかった。

 マップ上でも行ったことのない場所に足を踏み入れ始めて、随分とマップも広くなってきていた。

 ホワイトとして自分が使われる事がない事に心からホッとしていた。


 学校外は普通の街があるようだ。

 コンビニもスーパーも様々な店が無人で起動している。

 まるで人が実際にいるように取り出した食料などは次に行けばまた足されている。

 最初はお金を気にしていたが本当にこの世界にいるのは自分達だけらしく、一応ヘルプで大石が確認した所、支払いは不必要らしくそれがわかると衣服なども自由に取ってきている。


 心に余裕も出来てきて、練習などもしている姿を間近で見れて本当にこの世界に来て不謹慎だけど良かったと優美は思った。


 基本的に集団生活になるのだから、出来ることは当番制で交代しながらやっている。

 炊事・洗濯・掃除・食料&衣類&生活品の調達などを皆で順番にやっているのに優美は、基本的に何もさせてもらえない。

 体力面的な事は気をつけるから何かさせて欲しいと申し出てはみたのだが、優しくそんなことはしなくて良いと各部長たちに言われてしまえばそれ以上何も言えなかった。


 幸村達からすれば、優美の役割があまりに酷過ぎてせめて他の負担を避けようと配慮された事なのだが。


 体育館横にあるシャワールーム、男子と女子で時間を決めて使っているが、一緒になる女子達から優美は無視されていた。



 何もしないでチヤホヤされているように見られて陰口を言われている事は優美も知っていたし仕方がないと諦めていたのだが、その日、シャワーを浴び終えて着替えようとした時、着替えが無くなっていて優美は脱衣所で混乱していた。


 裸でそこから出ても何処に行けばいいのか分からないし、そろそろ男子のシャワー時間である、気持ちはドンドン焦り出すが結局どうすることも出来ずにいると、ついに男子達の声がシャワールームに聞こえてきて優美はとりあえず一番奥のシャワー室に逃げ込む。

 どうしようどうしようと考えていると声が近づいてきて蹲る。



 「えっ?」

 「!?」



 不意に聞こえてきた声に顔をあければそこには幸村が驚愕といった顔で立っていた。

 優美は真っ赤な顔で泣きそうになりながら幸村から視線を逸らす。

 暫く固まっていた幸村だけど、すぐにそのシャワー室の中に入りドアを閉める。



 「ごっごめんなさい」

 「どっどうして、時間間違えてた?」

 「違ッそのっ……着替えがッ……無くなっていて」

 「えっ!?」

 「それで、出れなくてッ」

 「なるほど……そのっ、ちょっとまってて」


 そう言うと幸村はシャワー室から出るとシャワールーム内を確認する、幸い今は皆が使用していて通路に出ている者はいない、出るなら今しかないと幸村はシャワー室にいる優美にそう小さく告げて手を引いて脱衣所に向かう。

 元々着ていた服に着替えて、着替え用に持ってきていてた服を優美に渡す。


 「こっこれ」

 「良いから、とりあえずそれに着替えて?そのっ……下着は流石に俺のって言う訳にはいかないだろうからッ」

 「はっはい」



 慌てて幸村から渡されたシャツに着替える。

 男物だから少し大きい感じになるが何とかそれを着た優美が幸村に声をかけると振り向いた幸村は思わず言葉を失う。


 彼シャツ。


 大きいシャツがまるでワンピースのようだった。

 何より胸のラインがハッキリしていて思わず視線を逸らす。



 「とっとりあえず、体育館に戻ろう」

 「ごめんなさい!迷惑かけてッ」

 「気にしないで」



 そう言って幸村は優美と一緒に体育館に戻る。

 自分の荷物などを置いている場所に行くと着替えと使用済みの衣類がまるで投げ込まれてたように散乱していて優美はそれを恥ずかしそうに片付ける。

 その様子に、考えたくないがマネージャーの誰かが彼女に嫌がらせをしているのだろう予測できた。

 考えたくないことだけど、と不快な気持ちに幸村はため息をつく。

 着替えを持ってお手洗いに行き優美は急いで着替えをすませると、着ていたシャツを幸村に洗って返すと伝えればそれをあげると言われて首をかしげる。



 「男物だけと、その……似合ってたから」

 「へっ!?」

 「藤原さんさえよければ、もらってくれないかな?」

 「本当ですか!?」

 「うん」

 「あのっじゃあ、ぜひッ」




 そう言って嬉しそうにシャツを抱える優美の姿に幸村はまだ自分に好意を持ってくれているのだと知りホッとする自分に苦笑する。。

 大切そうに抱えられたシャツ、それがとても嬉しかった。



 To Be Continued 

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