Game

□間章
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 この世界に来てから15日が経過した。

 改めて思う、この世界に来て色々な事が目に見えて変わってきている。

 それを日々感じてる。

 外見とかそんなものでは無く、内面がココに来る前とは、まったく別人のように変わった者が多くいる。


 それが悪い事ならば、この異常な世界のせいだと思えるのに。

 なのに、影響を受けて変わった者は良い方へと変わったように思える。



 この世界は何の為に自分達を連れてきたのだろうか?



 それを最近よく考えるようになった。




 不意に進行方向にいた一人の女子を見つけて足を止める。


 この世界に来て唯一、ハッキリと言える程不幸になった人間。

 人の命をまるでゲームの駒の様に扱う最低なこの世界のシステムに一番振り回されている人間。



 藤原優美。


 自分の中の印象は不幸な女子だった。

 そんな彼女が、廊下に立ち尽くしていた。

 そのまま通り過ぎようかと思ったが、何か困ったでもあるのかもしれないと思い、彼女へと近づいた。

 そっと声をかけようと思ったが聞こえてきた話し声に思わず声をかけるのを止めた。



 「不二先輩、村上先輩に告白されて断ったらしいぜ?」

 「マジで!?何でさ!?あの二人、めっちゃ良い雰囲気だったじゃん?」

 「オレも聞いた時、信じられなかったぜ」

 「理由は?」

 「あー……ヤっちゃって惚れたとか?」

 「ブハッ、いやいや、ないだろ?言っちゃ悪いけど村上先輩とあのホワイトの人、なんて言ったっけか?ま、いいや、アイツじゃ比べるのも失礼じゃね?」

 「言えてる」



 会話の内容からしてウチの部員達のようだ。
 話している内容は決して良いと言えるものではない。

 やめさせようと動こうとした時だった。




 「幾ら人助けでもさ、他の男とヤりまくってる女なんて、オレだっだら頼まれてもゴメンだね」



 その言葉を聞くなり彼女の身体がビクッと跳ねてカタカタと震えだしたのが分かった。

 慌てて肩をポンッと叩けば彼女は更にビクッと身体を跳ねさせてこちらを振り返った。

 その顔は真っ青で瞳からはポロッと涙が零れ落ちた。



 上手く呼吸が出来ないようで口をパクパクさせて泣く彼女を見て着ていたジャージを脱ぎ頭から被らせてそっと抱きしめる。



 彼女が落ち着くように何度も耳元で語りかける



 「気にするなッ、大丈夫だ!大丈夫だから落ちついて呼吸するんだ」

 「はぁはぁッ・・・ッ」




 後から後から流れ落ちる涙は止まらない。

 抱きしめた身体は小さく、震えるその身体が余計に気の毒で落ち着くまで何度もそれを続けた。



 「手塚!?どうしたんだ!?」

 「大石!ちょっとその先にいる馬鹿なウチの部員達に外周50周走るように言ってきてくれ」

 「ええ!?何がどうして!?」

 「後で説明する!」

 「わっわかったよ、けど、彼女は平気なのかい?」

 「ああ、過呼吸のようだが落ち着いてきたようだ」

 「そうかい?何かあったら医務室で休ませてあげるといい」

 「わかった」



 大石がいなくなり、そっと腕の中の彼女の様子を見れば漸く落ち着いてきたようだ。

 ジャージを取って様子を確認すれば未だ涙は流しているが落ち着いたようで少しホッとした。



 「あっあの……ごめんなさい……」

 「君は………もっと、思った事を口にしていい」

 「ッ私は……別にッ」

 「言っていいんだ!」

 「何もッ……何もないッ………ッ」



 言えば良いと思った。

 嫌だとか、もうしたくないとか、何でもいいから言えばいいと思った。

 だけど、それでも彼女はその言葉を殺してただ、泣いていた。


 胸が締め付けられるような気持ちになった。

 彼女が優しすぎて、だたただ切ない。



 他の男達のように、彼女にかけられる優しい言葉や気の利いた言葉を持ち合わせてなくて、それでもその瞳から流れ落ちる涙を止めたいと思った。



 身体自然と動き再度、その身体を抱きしめる。


 こんな事が自然と自分に出来るとは思いもしなかった。

 この世界に来て変わったのは他でもない自分なのかもしれないと思う。


 To Be Continued

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