幸せのカタチ
□第一話
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それは偶然通りかかった公園で偶然みてしまった事によって全てが変わってしまった。
夕暮れの公園、ランドセルを背負った男女が少し距離をとった状態で見詰め合っていた。
最近の小学生は、ませてるなぁなんて思いながら通り過ぎようとしたその時。
「お前の兄ちゃんって有名なんだろ?今度俺もテニス教えてもらえるように頼んでくれないか?」
「えっ?」
「いいだろ?なぁ?」
少年よ、それはいくらなんでもあんまりな台詞ではないだろうか?
そんな事を思っている時も少年の酷い台詞は続く。
「じゃぁ・・・告白してくれたのも・・もしかして・・・」
「あ・・・」
おいおいおい、そこで黙るなんて肯定しているだろうが!!
なんてヤツだ。
少しばかり顔は良いし将来有望かもしれないが、別の意味で心配だぞ。
少女は肩を震わせていた。
泣きそうになっている子若しくは泣いている子にフォローの言葉もかけられないなんてもう駄目だね。
進行方向をそっと男女の方へと向ける。
「別にいいじゃん!」
「ッ」
「よくねーーーからっ!!!」
「「!?」」
そっと少女の横に立てば、これまった美少女。
予想通り瞳には涙を貯めている。
可哀想に。
そっとハンカチを差し出すと困惑したようで受け取ろうとしない為に強引にその涙を拭いた。
「君ね、テニスを本気で習いたいなら彼女を利用しないで自分の口でちゃんと彼女のお兄さんに頼みな、こんな乙女心を踏みにじるようなやり方を平気でするようなヤツは紳士スポーツと呼ばれるテニスをする資格なんてないよ?」
「なっなんだよ、おばさんには関係ないだろっ!」
「おばっ・・・・へー・・ラケット持ってるじゃん・・・・少年、君が私に勝ったら私は君の奴隷にでもなんでもなってあげるよ」
「いいぜ!!」
「しかもしかも、今なら大サービスでハンデをあげよう、私から一点でも取れたら君の勝ちだ」
「後悔するなよ」
「私が勝ったら、学校で土下座して彼女に謝罪しな!約束破ったら乗り込むからね」
「ああ!」
幸いココにはストリートテニスコートがある。
持っていた鞄からラケットを出してボールを一つ取り出す。
「やっやめてお姉ちゃん、木村君はウチの学校で一番テニスが旨いの!スクールにも行ってて大会でも優勝してたりするの!!」
「・・・・大丈夫、乙女を泣かしたケジメはつけさせるよ。だからさ、泣かないで?」
「お姉ちゃん・・」
そっと頭を撫でて、悪がきの前に立つ。
構えもいい、確かに優秀らしい。
だけど。
「サーブはあげるわ、せいぜい楽しませてねクソガキ」
「覚悟しろよおばさん!!」