幸せのカタチ
□第六話
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「それじゃあ行ってらっしゃい」
「・・・・ああ、行ってくる」
どうしてこの男は、まだ中学生だというのに大人の男顔負けのセクシーな優しい微笑みを浮かべて爽やかに出て行くのだろう。
自分の世界にはそんな中学生はいないし、いたらいたで逆に嫌な気がする。
この世界には本当に、良い男が多すぎると思う!流石漫画の世界!
自分の諸事情で跡部に部活を休ませ尚且つ慰められた翌日、申し訳ない気持ちから渋々早起きをして弁当なんてものを作ってみた。
「・・・・・何よ、なんか文句でもあんの?」
「いや・・・・・今日は雨か?」
「ちょっ・・・・あんた失礼すぎる!!人がせっかく早起きして弁当作ってやったって言うのに言うに事欠いてそれか!!」
「お前がこんな事をするなんて初めてだろう、だから本当に驚いた」
「・・・・・フンッ」
「サンキューな」
チュッと音を立てて額にキスされた時、本当にこいつは何者だと思ったさ!
恥ずかしいお見送り(?)と言うものをした後にのんびりと朝を過ごし向かった学校。
天気は快晴で気持ちも跡部のおかげで晴れ晴れしてた。
なのにだ。
昼休みになり何時もの場所に向かい弁当の包みを広げた時だった。
カサッと音が聞こえて振り返ればそこにいたのは銀髪の美少年。
何故そこにいる仁王雅治!!!
昨日のように女に呼び出されているという感じではない。
こちらに向かってゆっくりと近づいてくる所を見ると・・・・。
「そんな周りキョロキョロせんでも、お前さんに会いに来たんじゃ」
「・・・・・えっと・・・・何用でしょうか?」
周囲を見回しそこにいるのが自分だけだと知った粗同時に仁王は口を開いた。
そっと私の前まで歩いてくる姿はさながらモデルのようにカッコイイと思う。
「あんなな激しいキスしておいて何のようとはつれないのぉ」
「・・・・何のことでしょうか?」
「忘れたっちゅーなら、思い出させるけど?」
「嫌いい!!遠慮する」
「なんじゃ、やっぱり覚えとる」
子供の口車に振り回される大人・・・情けなさ過ぎる。