幸せのカタチ
□第八話
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電話がかかってきてから人生初とも言える時間で支度したと思う!
こんな私を褒めてほしいくらいだ。
時間にしてそれでも30分はかかり辿りついた待ち合わせ場所、近くに行くにつれて視界に確認出来た中原さんに声をかけようとしたがそれをやめて思わず停止する。
周囲の注目をやたら集めている集団に顔が引きつるがわかった。
この世界では時に違和感のない綺麗な赤髪の丸井ブン太と銀髪の仁王雅治そして蒼髪の幸村精市、この三人がとてつもない存在感でそこに君臨していた。
実質これが初めての間近で見る丸井ブン太、よくデブだのなんだの書かれてあったけど、こうしてみこればまったくわからない。
むしろ女よりも細いと思う。
漫画の世界って本当にズルイよな。
何時までもそうしている訳にもいかず、覚悟を決めて集団へと嫌々近づく。
それにしても、なんか多くないか?
てっきり4・5人のグループかと思ってたけど、私を入れて10人?って、この人数で何処に行くっていう気だ。
嫌な予感しかしてこないグループに、さっそく来たことを後悔してきた。
「あ、藤原さんやっと来た!遅いよ」
「は?・・・・あ、えっと、ごめんなさい、お待たせしてしまったみたいで」
「もぉー、皆超待ってたしぃ」
いや、なんだこの会話?
頼まれてきてやったって言うのになんで?っと思うがココは仕方なく謝罪を入れる。
ココで揉めてしまったらこの後が最悪だ。
もう一度頭を下げて謝罪をし顔を上げれば、視線を感じた。
不思議に思い感じる方へと視線を向ければこちらを凝視している人物が二人いた。
一つは、先日聞かれた時にハッキリと行かないと告げていた仁王からのもの、そしてもう一つは、避けて続けていた幸村その人だった。
「おい中原、これで全員なのか?」
「うん!ごめんねぇ待たせて」
「んじゃあ、さっさと移動しようぜ?」
「はぁい」