幸せのカタチ

□第十二話
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 夏休みの初日に嫌な事があったけども、その後は特に何も変わらずにただダラダラと家で過ごしている。
 
 時折届く幸村や跡部そして仁王からのメールに返信して過ごしていた。
 
 猛暑は続いていて正直、夕飯の買い物ですら行きたくないくらい外に出たくない。

 
 「はぁー・・・・ダメだ、何もやる気になんない」

 
 自分が中学生の頃の夏休みなんて何してただろうと思い返してみるけどダメだ、思いだせない。
 
 友人達と遊びまくっていた記憶はあるけど、だからといって今それをしろと言われても無理だ。
 
 このままだと本当に鬱病になりそうだ。
 
 いっそ、ずっとこうして部屋の中にいればキャラ達とも関わらずいられるのだろうか。
 
 そんなことを考えてしまう。

 
 ボーッと天井を見ていた視線が不意に室内にあるあるモノで目が留まる。

 
 この世界に来るまでは数回触れる程度だったテニスラケット、なのにこの世界に来たとたんに頭の中にはそれに関する知識と技術がこの身体にはある。
 
 こうして何もせず特に運動などもしていないと言うのに、体力は衰えない。

 「ある意味、ドラ○ンボールテニスしてる彼等よりも私のほうが化け物みたい」

 
 漫画やアニメのように運動しなくても技術とスタミナがあるなんてどんだけチートキャラクターなんだろう自分は。
 
 今も汗を流し必死で練習している彼等対して自分はあまりに失礼な存在のように思える。
 
 だからだろうか、さっきまでは外に出たくないと散々思っていたのに、気がつくと身体はソファから立ち上がり、ラケットへと手を伸ばす。
 
 動きやすい格好に着替えてラケットバックやタオル等を入れた鞄を持ち私は家を出ていた。
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