幸せのカタチ

□第十三話
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 手に滲む傷と何か飲料水をかけられただろう濡れた髪をした姿を見た時、生まれて初めて他者に対して殺意が沸いた。

 何より、そんな姿をした彼女を庇うようにして立つ幸村の姿に言いようがないほど苛立った。



 「優美」

 「ちょっと!なにっ・・・ンンッ」


 強引に送ると申してで強引に自宅まで送ってきた、そのまま帰ると思っていただろう優美を抱きしめるようにして玄関の中に入りそのまま口付ける。


 自分以外の男が彼女に触れていた、それだけで感情が抑えられない。

 これが生まれて初めて経験する嫉妬と言うものと独占欲なのだとこの時、知った。



 「何なのよっ」

 「優美」

 「景吾、あんた本当に変よ」

 「抱きたい」

 「なっ!?」


 もう散々している筈なのに、誘うと今のように顔を真っ赤にして絶句する姿が愛しい。

 華奢なその身体を抱きしめ少し強引に壁に押し付ける。

 文句を言われる前に自分の口でそれを阻止すると、僅かな抵抗とばかりに自由な手が背中を叩くがそんなことは無視して口付けを深くする。


 押さえられない。

 溢れる感情。

 失うかもしれない恐怖心なんて、感じる事はないと思っていたのに。
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