幸せのカタチ
□第十九話
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前日の深夜遅くまで行くか行かないかで悩んで結局、約束してしまった手前それを破る事も出来なくて行く事にしたのは良いが、翌日、見事に寝過ごした。
既に全国大会開会式は終わったしまった時間、駅から走って何とか会場に辿り着いたいいが既に解散してしまったのか、それとも第一回戦のコートへと移動してしまったのかお目当ての人物達が見つからない。
どうせ行くなら本編よりも一年若い彼等を見てやろうと思って意気込んでいたのに、全員を確認するチャンスの開会式を逃すなんて馬鹿すぎる。
様々な学校のジャージを来た選手達と応援に来ているギャラリー達は全国と言うだけあって多くて正直、人の波に酔ってしまいそうだ。
空は雲一つ無い快晴、暑い日差しにウンザリしながら近くの木陰に入る。
「さて、これからどうしよう」
近くにあったコートの案内を見たって誰が何処にいるかなんてわからない。
こんな事なら以前に何処のコートで試合をするのか聞けば良かった。
正直もうこの木陰から動きたくなかったりする。
都合よく誰か通りかかってくれればいいけど、そう言うお約束はなくて奥の手にとっていた携帯を鞄から取り出そうとした時だった。
「えっ?何?・・・何処から?」
何やら言い争うような声がして不思議に思い周囲をキョロキョロ確認するがそれらしき騒ぎはない。
もう一度耳を澄ませば人気の無さそうな奥の方から聞こえてきた。
嫌な予感がした。
騒ぎに巻き込まれるのは遠慮したい、なのに足が勝手に騒ぎの聞こえた方へと向かった。