幸せのカタチ
□第二十一話
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目が覚めると高級そうなベットの上で一人だった。
昨日の事を思いだすととたんに落ち込む。
どうしてこうメンタルな部分が弱いんだろうか。
退化したせいか感情の起伏が本当に激しいように感じる。
テーブルの上にメモ用紙には一言だけ綺麗な文字で書かれている。
『好きなだけ休んでろ、目が覚めたら××病院に行け。連絡はしておいたから』
何処までも優しい跡部。
大人なのに情けなくなる。
弱くて情けなくてそして、ズルイんだ。
身支度を整えて部屋を出る。
昨日着ていた浴衣は紙袋の中で、今着ているのは跡部が用意しただろう服だ。
支払いをしようとカウンターに行けば支払い済みだった。
「本当に何から何まで・・・・」
ホテルから出て駅に行こうとすれば、何処からともなく現れたのは跡部の送迎車。
車に乗せられて向かった先は病院と、もう何も言えないくらい完璧だ。
診察の結果は打撲。
湿布を背中に貼り自宅まで送ってもらいやっと自室のベットで休めた。
できれば、昨日の事は忘れたかった。
自分が誰かの未来を壊しているなんて知りたくなかったし、認めたくもなかった。
無理矢理連れて来られたこの世界、自分が存在していて良いと言う理由を求めてみようと思った矢先の事。
今も彼女達の視線が忘れられない。
その時、私は知らなかったんだ。
暢気なそんな事を考えていた頃、全国大会の会場では氷帝学園敗退のコールがされていた事。
その事実を知ったのは、昨夜から鳴り続けていた不在着信の数と心配する内容のメールを送ってきていた幸村にお詫びの返信を返しそのまた返信を貰った時だった。
思わず持っていた携帯電話が手から滑り落ちる。