幸せのカタチ
□第三話
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あの幸村の歌う【宣告】を口ずさむ。
まるで自分の事のような歌詞。
苦笑しながら蛇口から出る水を止めた時、ガサッと音がしてそちらを見るとそこには、唖然とこちらをみる幸村精市がいた。
あの・・・なんでこんな時間に学校に?
時計をみればもうすぐ六時になろうと言う時間。
あ・さ・れ・んですか・・・貴方も・・・・。
「藤原さん」
「おはようございます、失礼しました」
「待って!」
手!!!!!!!!!!手を握られた!!!!!!!!!!!!!!!
ヤバイ、大興奮だ。
「昨日はすまない・・・あんな言い方をして」
「・・・・いぇ・・・」
「・・・改めて、妹が世話になった、ありがとう」
「いえいえ、それじゃあ」
「待って!!」
「・・・・・あの、なにか?」
「えっと・・・藤原さんは何でこんな時間に?」
「・・・・ちょっと」
「・・・そう・・・・」
会話が続きません、というか、もう逃げたい。
運動部が登校を開始する時間なのか少し校内が賑やかになってくる。
「朝練」
「えっ?」
「朝練なんでしょ?いいの部長が遅刻して」
「あっ・・・」
「あれは本当にたまたまだった、貴方の妹だとは知らなかったし、二度と関わる気もない、約束します、それじゃあ」
そう言って私は逃げた。
ああ、逃げましたともさ。
これで平穏に過ごせる、そう思っていたのに。