幸せのカタチ
□第五話
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「お前」
「ちょっと、さっきから『おい』とか『お前』とかやめてくれる?」
「アーン、お前の方こそ俺様を『アンタ』とか言ってんじゃねーか」
「私はいいのよ!!」
「なっ、なんだそりゃ!」
「・・・・・優美」
「アーン!?」
「名前よ、藤原優美・・・・14歳、中学二年・・・・・・立海大付属中よ」
「フッ、俺様は跡部景吾、同じく14歳で中二だ。氷帝学園中等部に在学してる」
同じ歳、益々回りにいないタイプだと思った。
特に顔がいいと言うわけでもない、なのに・・・・。
「何よ?」
「アーン?」
「いやいや、アーン?じゃないから・・・・こっち見すぎ」
「・・・・・お前、変な女だな」
「はぁ?」
こんなに俺が見ていると言うのに嬉しそうな顔をするかと思いきや、思いっきり不服そうな顔でこっちを睨みつけてくる。
「それ飲んだら帰りなよ?」
「・・・・・いたら都合でも悪いのかよ?」
「は?いや、別にそうじゃ・・・・・いや、悪い」
「アーン?なんだそりゃ」
「なんだもかんだもないわよ、兎に角飲んだら帰って、見たところ裕福な家庭のボンボン様のようですし?車でも早く呼んで帰って」
「嫌だね」
「は?何言って・・・・」
「俺様はまだ帰らねー」
「何それ!?何言ってのアンタ、馬鹿じゃん」
「何!?俺様が馬鹿だと!!」
「馬鹿じゃん、何こんな他人の家で自己中全快な発言してんのよ!?無理、ヤダ、帰って!!」
「明らかに予定もないのに取ってつけたように『帰れ』じゃ、俺様は帰らねーよ」
なんでそんな事を言ったのか自分でもわからない。
ただ、一緒にいる事が心地よく感じた。
その温もりと安堵感を手放す気になれなかった。
「あのさ、さっきも言ったけど私も今かなりパニックってのよ?だからさ・・・・・変な事される前に帰ったほうがいいよ?」
「変な事ってなんだよ?襲うとでも言う気かよ」
「そうよ」
「なっ・・・・・ンッ」